11月13日のレポート。
この日は冒険をせず、何度か立ち寄った、自分の舌に合うお店に立ち寄るつもりでした。しかしどこも休み、開いている店はまあまあ列が出来ている。もはや並ぶのも辛いくらい空腹が激しくなってきた。
そのとき思い出したのが、この鮮魚らーめん 五ノ神水産でした。新宿にある五ノ神製作所と同じ系列のお店で、やはり評判がいいのも知っていました。とはいえ当初は、“鮮魚らーめん”という響きにあまり惹かれなかったので、ちゃんと場所もチェックしてなかった。
しかし少し前、TOHOシネマズ日本橋からつじ田 味噌の章の様子を窺いに行く際、ふらふらと迷い込んだ路地にこのお店を発見してしまった。その後もいちど通りかかったものの、その時点ではさほど気になっていなかったので、スルーしていた。
だが、いちど眼にしてしまってからは、少しずつ興味も湧いていました。そして、この日もこの日で、つじ田 味噌の章に行こうか、と考えていたときに通りかかり、目当ての味噌の章に行列が出来ていたのを見て、急遽引き返してこちらに寄ることにしたのです。評判のお店なんですが、タイミングがいいのか、店外に列が出来ているのを見たことがなく、空腹の私には都合がいい、とも思った。
メニューは名前通り、銀だら搾りを売りにした鮮魚らーめんと、系列店とも相通じている海老系のラーメン数種類。五ノ神製作所で海老系は何度か食べているので、せっかくですから鮮魚らーめん銀だら搾りにチャレンジ……ついでに、トッピングに“岩のり”の文字を見つけて、衝動的にプッシュ。
この前の博多新風も、丼を前にした途端に薫る香ばしさに度胆を抜かれましたが、ここもまた凄い。マスクをしてるのに、焼いたタラの芳香が広がってくる。
名前から想像したのは澄んだスープでしたが、色合いはクリーミー。そしてレンゲでひとくち啜ると、色味通りに濃厚。魚介つけ麺をちょこっとセーブした、くらいの濃厚さ。
ただ意外なことに、後味はわりとさらっとしている。濃厚スープでたまにある、まとわりつくような感じがない。これが、一般的な魚介ではなく、タラをベースにしたポイントなのかも知れません。
麺は中細くらいのストレート。これもふだん、私が好むタイプではないんですが、スープにねばりがあるので充分によく絡んでくる。啜るほどに、小麦の風味や弾力と一緒に銀だらの味わいが口いっぱいに拡がって、溺れるみたいな気分。
具は五ノ神製作所とも共通する三角に切ったメンマと、斜め切りにしたネギ、そして鶏チャーシュー……実は、食べてるときは鶏だと思ってませんでした。なにせ銀だらのスープをよく吸ってるし、形状も切り身風なので、独特の調理をしたタラの切り身だと思ってました。確かにムチムチ感とジューシーさは鶏だったよ! 皮もあったし! しかし、やっぱりスープがよく絡んでいるせいで、思い返してもタラの切り身だったような気がしてます。
最初、スープの色も味も濃厚なのに驚きますが、しかしこれが食べてみると、驚くくらい軽く入ってくる。濃厚なラーメンでしばしば感じる重たさや倦怠感がなく、味変をしなくても充分に食べきれる。別皿で提供された岩のりを適度に追加しつつ食べていたら、麺を食べ終わってもまだ残ってる。岩のりを残したくない一心で、スープに落として啜ってたら、最後の一滴まで食べつくしてしまいました。私としてはかなり珍しい。
新宿にある五ノ神製作所にはときどき立ち寄ってますが、身体のコンディションが悪いと負担が大きいゆえ、系列店であるこちらの暖簾をくぐるのは躊躇ってました。しかし、予想に反して、私にはかなり合っていたらしい。既に、また行ってみたくなってます。
……ただ、ひとつだけ欠点がある。
最初はタラの風味に浸れるのですが、食べている途中で、他のお客から海老系のオーダーが入ると、厨房から濃密な海老の匂いが襲ってくる。そうすると、なにを食べてるのか本気で解らなくなります。そして、「次に来たら海老食ったる……!」という暗示にかかってしまう。
テーブル席は厨房からまだ距離がありますが、基本、ラーメン店はひとりで訪ねる私は高確率でカウンターに通される。たとえ次に海老を頼んだとしても、こんどは終盤に別のお客が注文した銀だら搾りの薫りに襲われそうな気がします……。
次回、ほんとーに海老系を注文するかはともかく、間違いなくまた来ます。ここは私にとっても当たり。
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