『ハッピー・デス・デイ』


原題:“Happy Death Day” / 監督:クリストファー・ランドン / 脚本:スコット・ロブデル / 製作:ジェイソン・ブラム / 製作総指揮:ジョン・バルダッチ、アンジェラ・マンキューソ、セス・ウィリアム・メイラー、クーパー・サミュエルソン、ジャネット・ヴォルトゥーノ / 撮影監督:トビー・オリヴァー / プロダクション・デザイナー:セシール・M・ステファノ / 編集:グレゴリー・プロトキン / 衣装:ミーガン・マクラフリン・ラスター / キャスティング:テリ・テイラー / 音楽:ベアー・マクレアリー / 出演:ジェシカ・ローテ、イズラエル・プルサード、ルビー・モディーン、レイチェル・マシューズ、チャールズ・エイトキン、ロブ・メロ、フィー・ヴ、ジェイソン・ベイル、ローラ・クリフトン、カメリア・スミス、トラン・トラン、ブレイン・カーンIII世、デイン・ローズ、テネア・イントリアゴ、ミシー・イェーガー / ブラムハウス製作 / 配給:東宝東和 / 映像ソフト発売元:Universal Pictures Japan
2017年アメリカ作品 / 上映時間:1時間36分 / 日本語字幕:?
2019年6月28日日本公開
2020年6月24日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazon|Blu-ray Disc:amazon|:Amazon Prime Video]
公式サイト : https://www.universalpictures.jp/micro/happydeathday
Amazon Prime Videoにて初見(2020/05/23)


[粗筋]
 テレサ・“ツリー”・ケルブマン(ジェシカ・ローテ)は見知らぬ部屋で目覚めた。誕生日だというのに、前夜に泥酔して、大学の男子寮に担ぎ込まれてしまったらしい。一夜を過ごしてしまったらしい相手、カーター(イズラエル・プルサード)を適当にあしらうと、身支度をするために大慌てで女子寮へと帰った。
 一度だけいい雰囲気になった男友達の待ち伏せに遭ったり、反りの合わないルームメイトのロリ(ルビー・モディーン)から柄にもないお祝いをされたり、自分にとって本位でないイベントが連続して、その晩催されるコスプレ・パーティにもツリーは乗り気にならない。それでも会場に赴いたとき、途中にある人気のないトンネルに、“ハッピーバースデー”の歌を流すオルゴールを発見する。誰かが自分を怯えさせようとしている、と思い込んだツリーだったが、その直後、大学のマスコット“ベビー”のお面をかぶった何者かに襲撃された。
 ――次の瞬間、ツリーはカーターの部屋で目覚めた。頭痛に悩みながら女子寮に戻るあいだ、起こることすべてに既視感があることに困惑する。そして夜が近づくにつれて、違和感は確信になり、ツリーに恐怖をもたらした。このままではふたたび殺される。
 悪い予感は当たっていた。ツリーは自分が殺される最悪の誕生日を、果てしなく繰り返す羽目に陥っていた――


『ハッピー・デス・デイ』本篇映像より引用。
『ハッピー・デス・デイ』本篇映像より引用。


[感想]
 何らかの理由で同じ1日を幾度も繰り返す、というシチュエーションそれ自体はもはや目新しいものではない。問題は、その状況でなにに着目し、どのように事態を面白く描いていくか、だ。
 本篇はそこに、繰り返すたびに覆面をつけた殺人者によって殺される、という出来事を加えることで、ループからの脱出条件を明確にしてスリルを加えた。しかも、きちんとループするごとに生じる状況の違いも考慮しつつ伏線を緻密に織り込んでいるので、謎解きとしての緊張感、昂揚感も演出している。
 だが、この作品が公開されるや一部で高く評価されたのは、そうした組み立ての巧さもさることながら、ループに取り込まれる当事者・ツリーのキャラクター性によるところが大きい。
 序盤で描かれるフラットな彼女は、控えめに言ってもクソ女だ。泥酔して興味もない男とディープキスをして、会った記憶もない男の部屋で目覚める。誕生日を祝うルームメイトの手作りカップケーキを目の前で捨て、家庭のある教授と不倫を愉しむ。アメリカの青春ドラマに出てくるサイテー女そのものの人物像だ。劇中、誰が自分を殺そうとしているのか割り出すために容疑者を列挙する場面があるが、誰に殺されても不思議がない。
 そんな彼女が自らの殺されるループに嵌まり込んでしまい、混乱し動揺し恐懼するさまは、観ている側からするとむしろ爽快なくらいだが、しかし本篇の真価はそこから始まる。どうにかしてこの悪夢のループから脱出しよう、と試み始めたあたりから、ツリーが次第に変わっていくのである。それまで気にも留めていなかった他人の素顔を覗き見、その本質を知ることで、翻って己が他人からどのように見えていたのかを悟りはじめる。成長の果てに、ループという特権を逆手に取って決めた行動は、いっそ格好良く映るくらいだ。
 また、同じ時間をなんども繰り返させられるが故のユーモアもしっかり盛り込んでいるのがいい。特に、殺人者を特定するため、何度もループする事実を受け入れていればこその大胆すぎる振る舞い葉、あまりにも清々しすぎて笑ってしまう――もしあそこでループ終了してたらキャンパスライフ終了だったんだけど。
 随所に織り込まれるツリー自身の過去もまた、謎解きと絡みあいドラマを盛り上げる。これだけしっかり組み立てられていて、ギリギリまで謎と緊張が続くのだから、もうこちらはワクワクさせられっぱなしだ。90分ちょっと、という映画として最も手頃な尺にみっちりと実が詰まっている。
 資料によると、試写会の段階ではまったく違う結末だったそうだが、極端な不評を受けて撮り直しを実施したらしい。どうやら真逆の結末になったようだが、本篇の終わり方はこれでいい。冒頭からずっと続く陽性の緊迫感の終わりは、このくらいスカッとしていていいのだ。
 まさに“快作”である。あっという間に続篇が製作されたのも宜なるかな。


関連作品:
パラノーマル・アクティビティ4』/『パラノーマル・アクティビティ 呪いの印
ラ・ラ・ランド』/『マネー・ショート 華麗なる大逆転』/『アナと雪の女王2
リターナー』/『バタフライ・エフェクト』/『時をかける少女(2006)』/『LOOPER/ルーパー』/『オール・ユー・ニード・イズ・キル

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