偶然までが私を脅かす……![レンタルDVD鑑賞日記その766]

 11月9日に、2022年6月リリースの『呪われた心霊動画XXX_NEO 13』を鑑賞。SNSを通じて知り合った同好の士による怪談会で思わぬ恐怖が襲う《憑依》、デートのさなかのさり気ないひと幕にあり得ない事件が起きる《車》、霊に殴られたと語る女性の取材が異例の顛末を辿る《殴る霊》など、全6篇を収録。
 もともと現在生き残っているシリーズでは一段上のクオリティを誇るシリーズですが、今回は特にレベルが高い。相変わらず、怪奇映像それだけなら、ちょっとやりすぎた加工物、で切って捨ててしまうことも出来ますが、ドキュメンタリー部分を含めたホラーとしてのレベルは特筆すべきものがある。
 特に瞠目したのは《車》と《殴る霊》の2篇です。
 あーだこーだ言いながらもこの手の怪奇ドキュメンタリーをやたらと漁ってきた私ですが、この《車》のパターンは前例が思いつかない。怪談でこういうモチーフが出てくることはあっても、映像として捉えているのは初めて観ました。
 そして巻末の《殴る霊》は、実のところこういうドキュメンタリーを本気でやっていれば、たま~に起きても不思議ではないケースを採り上げている、という点でも見事なんですが、更に終盤にもうひとひねり加えてくるのが素晴らしい。肝心の映像自体はやっぱりちょっと過剰でも、ここまでお膳立てが整っていると普通に怖くなるのです。しかも、現象だけでなく、その向こう側に透けて見える“悪意”が。
 このシリーズはしばしば、ひとつの巻で扱ったエピソードが最後に収束したり、緩やかに繋がっていく趣向を用いますが、今回は一見それを避けたようでいて、実は何篇かは繋がりあい、全体でも通底するものを感じさせるエピソードが揃っている。その本当の背景が1篇ごとに明かされているわけではないのですが、しかしだからこそ、相通じる感情とその表出が怖い。それを巻末のエピソードで強烈に際立たせているのがまた巧い。
 巻数を多く重ね、基本的に高い水準をクリアしながらも、パイロット版とも言うべき作品『死画像』を超えられない、というのがちょっと残念だったのですが、1巻としての質はとうとうあれを上回った、とさえ感じました。間違いなく、ここしばらくに鑑賞した怪奇ドキュメンタリーのベスト。よく解らなかった、というひとは、人物名に注目しながら、冒頭からもういちど見直してください。ゾッとするから。

 ……しかし今回、これを観ててなにがいちばん怖かったかって、鑑賞していた11月9日のこと、ラストの映像が始まった途端に本物の地震が起きたことだ。あまりのタイミングの良さと、映像とのシンクロっぷりにけっこう本気でビビりました。揺れてる時間もほぼ一緒だったんだぞ?!

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