ベン・スティラーに愛の手を。

 だいぶ前の話。『Along Came Polly』という、ベン・スティラージェニファー・アニストンと競演したコメディ映画がありました。全米ではかなり長いことランキングに食い込む人気ぶりで、日本での上映を楽しみにしていたのですが、気づけば『ポリー my love [DVD]』というまるでパクリのような題名でビデオ直行。結果的に観る気も萎えてしまいました。作品の評判そのものはイマイチだったようですが、そういうのは別問題。ほかの作品とも絡めて、向こうでヒットしたコメディ作品が日本で劇場上映されにくいのはどーいうこっちゃ、と日記の中で嘆いたことがあります。

 そんな中、『ドッジボール』という作品がアメリカでヒットとなりました。隣同士のスポーツジム、一方に買収されそうな零細ジムは状況打開のため、賞金目当てでドッジボール大会に出場するも、先方のジムも参加していて……という設定からしてチープで馬鹿っぽい代物。とは言え個人的にそーいうものもけっこう好きなので非常に興味を持った。ですが、前述の通り日本ではとにかくコメディものは公開されにくい。加えて近年はやたらとお涙頂戴を訴えたり、衝撃のクライマックス! という惹句が躍るものばかりが持て囃されがちで、いずれとも縁のないコメディは余計に敬遠されている様子がある。先行きは昏いなー……と半ば諦め加減でいたところ、昨年の暮れぐらいか、20世紀フォックスのラインナップにこの作品が掲載されたのです。ちょっと小躍りしました。更に、ゴールデン・グローブ賞アカデミー賞での好評があったとは言え、こちらも渋めのコメディ作品『サイドウェイ』の公開も素早く行われ、ちょっとは状況が好転したかに見えました。

 ぬか喜びでした。

 今月20日ブエナビスタホームエンターテイメントから『スタスキー & ハッチ 特別版 [DVD]』が発売されます。あの人気連続コメディドラマのリメイクであり、やはりアメリカではなかなかのヒットとなりました。こちらはamazonのレビューも悪くない。同じ日に、Sony Picturesから『隣のリッチマン [DVD]』が発売されます。……これまたパクリのような邦題ですが原題は『Envy』、妙な発明で財を成した隣人に対する妬みを描いた話で、監督は『レインマン』『バンディッツ』のバリー・レヴィンソン。やはりアメリカではランキングに食い込んでいた記憶があります。いずれも劇場公開なし、ビデオ直行。二本とも、ベン・スティラー主演。

 ……日本では噂さえ聞かれないまま時の流れに押し出されていく作品だって無数にあります。ビデオ直行であっても目にする機会があるだけまだましと言えるかも知れません。それでも、この現状を前に叫ばずにはいられないのです。

 ベン・スティラーに愛の手を! 短期間でいいからいちどぐらい劇場で流してくれー!

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