『地獄少女 二籠』第十四話 静かな湖畔

 かつては高級住宅街として売り出されたが、今はすっかり寂れてしまった一画に暮らす、テレビ局勤務の呉林は、しばらく前から庭にゴミを投げ込まれる嫌がらせに苦しめられている。中傷はひとり息子・拓真にも及ぶが、呉林は気づいていない――嫌がらせの元凶は、かつて一緒に仕事をし、いまも向かいに暮らす脚本家・柿沼であるということを。

 うわー絶対にヒットしそうもねえドラマ、と思いながら冒頭のシーンを観てました。ジャケット・デザインも陳腐だし。決して美術的センスは悪くないスタッフなのですから、少しは考えて作れんもんか。

 基本的にこのシリーズは後味が悪くていいんですが――しかし今回はちと酷すぎる。あんな杜撰な計画に、いくら警察が間抜けだったとしてもあっさり騙されるはずがないでしょう。まずボウガンの一件は、あの触り方では間違いなくトリガーに指紋がついていないことから、問題の人物の関与の可能性は否定される。そもそもボウガンのトリガーはそんなに簡単に引けるものではないはずなので、その点からも第三者が放棄したものと判断されるはずです。だいたいあの家にはじめからボウガンがあったのか? なかったとしたら出所は洗われるはずで、それで犯人ははっきりするでしょう。加えてクライマックスの出来事など、創傷の位置を検証すれば一発で別の人間の犯行と解るはず。参考人として確保はされても、そのあとは簡単に解放されます。されなかったらさすがにこの世界の人間、頭が悪すぎる。

 良心に頑なであることの悲劇、を描きたかったのは察せられるのですが、しかしそれにしては相変わらず細部が杜撰で、悪意が徹底されていない。そんなものに安易に翻弄される世間がただ軽率に見えるだけで、そういういい加減な描き方をしていることに対して苛立ちを覚えるだけです。今回も第一期からのスタッフの悪い癖が出ただけ、という感じでした。

コメント

  1. 通りすがり より:

    >あんな杜撰な計画に、いくら警察が間抜けだったとしてもあっさり騙されるはずがないでしょう。

     だから、警察が事件をどう考えているのかについて、描写されていなかったのではないのでしょうか?
     母親が殺された後、子どもが犯人ではないか、という疑いは、あくまでも隣近所の無責任な噂話として描写され、子どもが警察に疑われているとする描写、例えば子どもに対する取調べなどの描写はありませんでした。
     また、父親が殺された後も、警察の対応として描かれているのは子どもを殺害現場から連れ出してパトカーに乗せている、ということだけで、警察が子どもを殺人犯として疑っているという描写はありませんでした。こちらでも、やっぱり子どもが犯人だったんだ、という言葉は、隣近所の無責任な噂として描かれているだけです。ブログ主様のおっしゃる通り、「参考人として確保はされても、そのあとは簡単に解放され」ることでしょう。
     隣近所の噂話が馬鹿すぎる、とおっしゃるのならわかるのですが、「いくら警察が間抜けだったとしてもあっさり騙されるはずがないでしょう」とおっしゃるのは、「警察が騙されている」ような描写がない以上、やや的外れなご批判であるように思われました。

  2. tuckf より:

    確かに、警察が騙されている云々は全体の表現からすると言い過ぎだったようです。どちらかと言えばあの程度で子供にあっさり疑いの目を向けていたようなご近所の描写自体が問題で、そのあたりは仰言る通りだと思います。
     ただ、ゴミの投棄にしてもボウガンの問題にしても、調べれば柿沼という人物に疑いの目が向けられたはずです。だからこそ最後のひと幕で柿沼邸に急行した――ということも考えられますが、そもそもあの段階まで、屋内にいていつボウガンを準備したか不明瞭な子供だけに事情聴取をして、真向かいに暮らす人物を放置していたのはさすがに警察の仕事を安易に考えているように見えてなりません。
     警察の考えについて意図的に描かなかったにせよ、現実的な動きを軽んじて上っ面を装うだけにしているのはやはり脚本の不備だったと思うのです。

  3. 通りすがり より:

    丁寧なお返事を、有難うございました。レスが遅くなり、失礼致しました。

    >警察の考えについて意図的に描かなかったにせよ、現実的な動きを軽んじて上っ面を装うだけにしているのはやはり脚本の不備だったと思うのです。

     警察の捜査については、具体的な描写がほとんどなかったために、ブログ主様のおっしゃる通り、「現実的な動きを軽んじて上っ面を装うだけにしている」という印象を与える面はあるかもしれないなあ、とは思います。特に今回のエピソードでは、被害者の子どもがあまりにも理不尽な運命を辿ることになるので、なおさらそのような印象が強まってしまうのかもしれません。

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