霧山修一朗が新たに目をつけたのは、キャラクター・ビジネスの寵児となった尾山ミツコのかつての相棒が謎の死を遂げた事件。その後も尾山ミツコは、名キャラクターを生み出した直後にアシスタントが怪死する、という事件に見舞われており、一時はミツコが殺しているのでは、という噂も立ったが、現場に残された奇妙な痕跡のために容疑が成り立たず、ただの噂として処理されていたのだが……
そーぶ君に続く情けないマスコットが登場。そのマスコットとデザイナーの暮らしぶりの温度差がおかしい。
今回はゲストの杉本彩のキャラクターを過剰にフィーチャーするついでに、意味不明の組織を背後に描き出してやたらとスラップスティック。これまで多少なりとも司法捜査の骨子は守ってきた感のあるシリーズの雰囲気からすると、馬鹿すぎる謎の組織の造型はちょっと行き過ぎの印象がありますが、それを受け入れてしまうのがこのシリーズの懐の深さというか、雑多さというか。管轄外であるが故に、時効でない事件の謎を解いても自らは口出ししないあたり、そして最後の展開の格好良さといい、珍しく霧山の名探偵ぶりを強調している点では、特異な地位を占めていると言えましょう。
監督・脚本は個人的にあんまり好感を持っていなかった園子温。相変わらず鏤めるだけ鏤めてぜんぶ無意味にする、また論理としては支離滅裂である点には首を傾げるものの、話としてはけっこう面白かった。ちょっとだけ園監督に対する評価を改めましょう。ちょっとだけね。
コメント