『電脳コイル』第26話 ヤサコとイサコ

“4423”とは、勇子の兄ではなく、事故によって昏睡していた勇子自身の病室番号だった。優子のオジジが最期に救おうとしたのが勇子であり、記憶にあるあの空間は勇子のために作られたものだった。そして、幼い頃の優子が迷い込んだのも、その空間だったのである――幼い日からの因縁に、いま決着がつこうとしていた……

 ……素晴らしい。

 まだこの期に及んでも、デンスケの果たしていた役割であるとか、コイル探偵局のごく初期のメンバーの謎であるとか、細かく仕込んでいたネタが繰り出された果てに、すべてを集約する台詞の応酬。優子と勇子のふたりのヒロインが必要であった理由が明確になり、その主題もきちんと言葉の中に織りこんでいる。優子が勇子を呼び戻すために選んだ言葉と、勇子が唱和するあの言葉はまさにジュヴナイルの本懐とも言えるもので、観ていてもう痺れっぱなしでした。

 決して動きは大きくありませんでしたが、クライマックスに相応しく、作画も演出も繊細かつ重厚。変に可愛く描こうとするのではなく、心情を反映して切羽詰まった表情を丹念に再現して、それが最後のカタルシスに結びついている。

 ギリギリまで物語を引っ張った挙句、安易にめでたしめでたし、という風にするのではなく、どこか切なさと甘酸っぱさを留めたままで締めくくったところまで見事の一言に尽きます。いや、これは本当に素晴らしい作品でした。リアルタイムで楽しめる少年少女が羨ましくなる大傑作。

 で、来週からこの時間帯はどないするのかしら、と思っていたら……再放送だって『電脳コイル』。……また半年楽しむ?

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