『モップガール』EP:9

 頭脳と胆力によって組を成長させた極道・北濱が、敵対する組と手打ち式をしている途中で暴漢に襲撃され、桃子の父が経営する病院に収容された。北濱たっての頼みで葬儀屋が手配され、厭々ながら赴いた桃子は、そのうえ北濱の身の回りの世話を任されることに。だが、既に末期のガンに冒されていた北濱はそれから間もなく死を迎えた。桃子が何をしようと助けられない状況――にもかかわらず、彼女はまたしても過去に舞い戻る。死の直前、彼が果たそうとしていた約束を手助けするために。

 長谷川家は一家揃って日本語が駄目だった、ということらしい。兄妹最初のやり取りは衝撃的でした。

 序盤は随所に思慮に欠く描写があったり、謎解きの結構が乱れていることに苛立たされることしばしばでしたが、そういうものだと解って観るようになってからは、逆に楽しくなりました。大きいのは、スタッフがそういうお約束をちゃんと押さえて作るようになったからでしょう。桃子の奇妙な日本語もそうですが、これまで殺人事件に遭遇し、遺品に触れて過去に飛ぶ、という展開だったものが、初めて桃子の力でも救えない相手に遭遇した。でも、ここまでの積み重ねから桃子は最後に想いを遂げさせたい、という気持ちにたやすく傾く。下積みがあってこそのこういう描写は快い。

 きっかけがそういう代物なので、謎解きなどしようがないし、以降の展開はほぼ一本筋であまりに安直の誹りは免れませんが、主要登場人物の個性のお陰で充分楽しめる内容になっている。話それぞれでは言いたいことはあっても、現時点ではシリーズとしてなかなかの出来だと思ってます。

 ただ、最後のあの展開はどーかと思う。後腐れはありませんが、さすがに皆さん聞き分けが良すぎるって。

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