『ゴルゴ13』Target.20 メランコリー・夏(サマー)

 人ふたりを殺害した挙句に逃げていった男の妻として、冷たい目を向けられながらも、マルタ島で必死に生き延びる女・ステラ。だが彼女が懸命に待ち続けている男は、情報をロシアに売っており、そのために祖国から追われる身となっていた。潜伏していたロシアから男が追放されたという情報に従い、国はゴルゴに暗殺を依頼するが、ゴルゴが行方不明の男の手懸かりとして張りついたのは、逃亡の手段として使い捨てにされたとしか思えないステラの周辺であった。果たしてゴルゴの狙いとは……?

 終始静かなムードで展開される1話。序盤の、悲劇に見舞われる女の描写がどうも安手のメロドラマ風なのが引っ掛かりますし、ゴルゴの着眼点が素人目にも単純すぎて、気づかないまわりの連中が観察力に乏しすぎる、と感じてしまうのが難ですが、トータルでの味わいは秀逸です。冷徹に仕事を実践しながら、ギリギリの線で女に気を遣うゴルゴの描写がいい。

 作画は全体に緩めですが、話がしっかりしている上に、変な冒険を打たず堅実に演出しているので、あんまり気にせずに観られました。長期的に続けることを前提としたシリーズなら、このぐらいがちょうどいいのでしょう。

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