発掘失敗、そして珍しく邦画2本立て。

 今日あたりから作業再開――の前に、色々とある心残りをなるべく解消するべく、午前中から動き回る。まずは、出来れば土曜日の封切りに観ておきたいアレの予習のため、元自宅で元職場のどこかに埋まっているはずの本を発掘しにお出かけ。母に頼んでいたのですが、どうしても発見できないとのことなので、ギリギリで自ら捜すことに。

 ……諦めました。

 購入以後に、訳あって親類が一時的に身を寄せているのですが、その荷物に押しのけられる格好で、本を詰めた箱を開けるだけでもしんどい。目につくものは漫画類を詰めてあるだけで、これ以上深いところまで捜すには、その前に周囲を片付けないといけない。そんなことまでしている暇はさすがにない、と断念し、帰りに本屋に寄って文庫版を購入してきました。

 帰宅し、食事と仮眠などを挟んで、15時ぐらいに再びバイクにてTOHOシネマズ西新井へ。珍しく邦画の2本立てになったのは、mihoroさんに「洋画中心なのが残念」と書かれてしまったから――というわけではなく、多忙のうちに溜まっていた観たいものがたまたま邦画ばかりで、ハシゴ出来るものを、と選んだ結果、はじめから候補は邦画だけになっていたのです。シネマイレージを集めるために使用せずにいた無料鑑賞権がまだ3本分残っていたので、これでも出費はプログラムと飲物だけ。

 まず1本目は、本木雅弘主演にて、遺体を清め棺に納めるまでを遺族に代わって執り行う“納棺師”という仕事を描き各映画賞で賞賛され、アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表にも選出された話題作おくりびと』(松竹・配給)。上映前からの世評の高さに観ることは決めていたのですが、封切り後に各所で「脚本が弱い」という感想を目にして、そこに留意しつつ鑑賞――いや、別に弱くはない。最大のネックは、主人公が隠していた“納棺師”という仕事がばれたときの妻のリアクションや、そこを中心に突然、この仕事への偏見が剥き出しになるあたりですが、実のところこれはむしろ、現代的には死を忌避するイメージが強く、あちらの反応こそが普通なのであって、観る側にその不自然さを早い段階で植え付けている話運びの巧さを証明しているとも言える。この作品の主題は死への対し方と、死者に日常的に臨む“納棺師”の誠実な態度と所作の美しさであり、その周囲に必要以上に拘泥していないのは整頓が行き届いている現れでもある。庄内地方の風土の美しさも適度に盛り込み、最小限でも効いた脇役が存在する、理想的な佳編です。ここ数年の傾向からすると、無事に外国語映画賞最終候補に残ることが出来れば本当に獲れるかも。そのくらいよくできてます。

 続く2本目は、『下妻物語』で独特の作風を確立した中島哲也監督最新作、気難しく嫌われ者の男と、事故で一日しか記憶を持たない少女の交流を、空想的かつコメディタッチに描き出した作品パコと魔法の絵本』(東宝・配給)。前々からいちど観てみたかった中島監督作品、やっと劇場で観られましたが、なるほどこれは面白い。キャラクターがことごとく立っていてテンポもよく、道具立ては万全。ありがちながらちょっとした仕掛けもあるのですが、そこまでの話運びがあまりに巧く見せ場も多いので幻惑されて、うっかり引っ掛かってしまいました。基本的に阿部サダヲ大放出の映画ですが、どんどん壊れつつある上川隆也の極めの演技が堪能できたのが大収穫です。シリアスな場面でも笑いを忘れず、それでいて主題が霞んでいない、見事な作品。こちらも文句のない傑作でした。思わず主題歌とサントラのCD買って帰ろうかと思ったくらい。手持ちがないのでやめましたが。

 ……しかし、この2本立てはあんまりお薦めできません。映画観てもあまり泣くほうではありませんが、立て続けじゃさすがに涙腺緩むもの。

 なお、無事に土曜日までに予習が済めば、次も邦画になる予定です。間に合わなかった場合、西新井でかかっていない作品にも観ておきたいものが幾つかあるので、別の既に公開している作品に切り替えるかも知れませんが。

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