言葉が出ない。

 フリーパス期間が終わってもまだ映画を観る。もともと先月、このために18日に交換しようか、とさえ思っていた1本を鑑賞するために、日比谷のTOHOシネマズシャンテへ。チケットはきのうの時点で確保してあります。

 作品は、第83回アカデミー賞外国語映画部門候補にもなった、ある女性の壮絶な半生をミステリー・タッチで描いた灼熱の魂』(ALBATROS FILM配給)。午前十時の映画祭のみゆき座での上映前にこれの予告篇が流れていて、すごく気になっていたのです。アカデミー賞はこの作品が獲るべきだった、という讃辞が用いられていたのですが、果たしてどんなものやら、とワクワクしてました。

 ……観終わってしばらく、頭のなかが真っ白でした。

 これは本当にすごい。中心人物である母親の辿った運命の、なんと壮絶なことか。それを現代、遺言により母の足跡を辿る子供たちの視点と、過去の母の視点とを並行して綴り、謎と驚きとを交互に示して牽引する絶妙なプロット。そしてあまりにも衝撃的な結末。単純にミステリとして鑑賞しても見事、主題の掘り下げも逸品。帰宅後、未だに呆然としつつパンフレットを眺めていたら、更にもう1発衝撃が待ち受けていました。これは、もう1回観たい。そろそろ年末恒例の映画鑑賞総括の準備を始めていて、自分なりの年間ベストをまとめつつあったのですが、このタイミングで大変動が起きてしまいました。文句なくお薦め。っていうか観て。

 このあともういちどお出かけの予定で、その前に少しぐらい作業を進めるつもりでいたのですが、頭のなかでこの作品の内容を整理して粗筋を書いて、というだけで激しく消耗してしまい、作業のほうには手をつけられず。今年のアカデミー賞外国語映画部門受賞作『未来を生きる君たちへ』もいい作品ではありましたが、正直こっちのほうが上だと思う。本当に。

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