レンタルDVD鑑賞日記その457。

 一般の怪奇映像ドキュメンタリーと異なり、投稿映像や、関係者に対するインタビューを軸としたドキュメンタリーで構成するのでなく、冒頭から“再現映像も交えて”という断り書きを添えることで、登場する映像が必ずしも実物ではない、という免罪符を予め用意する形で進行している。

 それはそれでいいのです、面白ければ。或いは、事実を下敷きとしているが故の生々しさが表現出来ているのなら。むしろ、真偽について問題にせずに済むので、いい趣向とさえ言える。

 ……出来が良ければ、ですが。

 ぶっちゃけ、1本目を観ている時点で「あ、こりゃ駄目だ」と悟りました。農業体験ツアーでレイプ被害に遭った、という体験談を、再現と現地取材で……という体裁なんですが、隅から隅まで説得力がない。再現ドラマの拙さはまだいいとしよう、体験者へのインタビューおよび現地取材部分までもが仮に再現だったとしても、この状況はあらゆる点からあり得ません。大っぴらに広告を打ったツアーで安易に犯行に及べば2度目はないのですから、組織が関与するならもうちょっと計画は慎重なはずでしょう? レイプ被害に遭った女性はどうやって逃げ出したの? それこそ逃がしちゃマズいわけですし、仮に返すつもりだったとしても、何らかの策が合ったはずで、そこに触れないのはおかしい。そして現地取材の過程、あの場でいきなり激昂するような人間はたぶんこんな計画は遂行しないし、そもそも体験者が投稿しなくたってバレるんではないですか? これが表沙汰にならない巧妙な事件だとしたら、その巧妙さが一連の行動から窺えないのが不自然極まりない。

 何より、事実とするならこれは怪奇ドキュメンタリーで扱う話ではなくて、刑事事件になるか、もっと実際的なところで扱うべき案件でしょう。そもそもが、こういう体験を、まだ1本もリリースされていない怪奇ドキュメンタリーに投稿する女性なんているか?

 そしてそれらが嘘でも、まったく許せるわけではないにしても、ちゃんと練り込んであれば多少は許せるんですが、どうもディテールが緩すぎて面白くも何ともない。他にも、文字通り人格が入れ替わったように突如妻を虐待する男の話が出てくるんですが、これもインタビュー含めて説得力がないし、やっぱりこれも取材以前に奥さんを避難させる方が先でしょう。だいいち、取材陣に対しても暴力を振るってますから、普通に暴行事件で警察介入させられます。何を暢気に“取材継続”しているのだ。

 前述したように、体験談や怪奇映像そのものも再現、ということにするなら、それはそれでいいと思うのです私は。しかしそれなら、もーちょっと説得力を付け加えてくれ。もっと勉強してから挑戦しろ。もともと様子見のつもりで月額レンタルのリストに入れたので、続巻は登録してませんでしたが、続きを観る気がまったくなくなったので、記憶している限りは登録しません。

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