怪し会 黒 於もっとい不動密蔵院

密蔵院の門前に設置された案内板。 というわけで、一昨日の出来事をようやく綴ります。

 2010の参2011の肆2012の伍2013の陸同年秋の茜2014の漆2015の八雲――並べてみたらこれで8回目の参加となる怪し会です。今年は自分でチケット確保に挑んだもののあえなく玉砕、万一の保険として昨年に続いて協力をお願いしていた某氏のほうが無事に確保できたため、何とか参加が確定しました……年を追うごとに確保が難しくなってくなこのイベント。

 例年、公演の中盤くらいで鑑賞してくるのが習いなので、ネタばらしを避けるためにスペースを空けたあとで詳細を綴っておりますが、今年はこの31日の公演で終了、10月に開催される松江での会は一部を除いて内容の重複はなし、と予告されてますし、昨年のようにDVD化の予定もないので、変な気遣いはせず、そのまんま綴ります。

 支払などの手続が現地なので、少し早めに現地入りです。新小岩駅に着くなり、新しいポケモンを捕獲したりしつつ、バスで移動。

 バス停を降りて、道の先を左に折れた右手が開催場所の密蔵院。毎回、この曲がり角に提灯を持った案内人が立っているのですが、今回は黒いスーツにサングラス、という『逃走中』或いはMIBみたいな装い――実際、意識しているのはMIBなのです。今回のテーマは“宇宙人”ですから。密蔵院の境内にも、しばしば黒服が出没したり、と開演前から細々と仕掛けております……ただ、ちょうど密蔵院前のえんま大王像がポケストップに指定されていて、誰かがルアーモジュールを仕掛けてくれたせいで、あんまり目に入ってなかった印象もありましたが。

 幾分遅れ気味で開場です。通常は本堂で、ほとんど照明を落としたなかで耳を傾けるのがこの舞台のスタイルですが、今回はいつもは休憩時間に酒肴を嗜むためのお清め場にて上演。鑑賞しながらお酒が飲める、しかも恐るべきことに“飲み放題”。

 それというのも、今回の酒である秋田の『ど黒』という銘柄は、今年造る予定ではなかったのを、座長の茶風林氏がどうしても、と頼み込み、すべて買い取る、という約束で、ひと樽だけ作ってもらったのです。このイベント以外で出す予定がないから、出し切るために“飲み放題”となったとのこと。解っていたから私は酔っぱらいになる覚悟を決めてきたわけで。

 座席を確保すると、とりあえず物販を確認……ず〜っと延期を重ね、この公演に合わせてリリースする、と言っていた『怪し会 八雲』のDVDは……ない。正式な発売日は8月10日、いちおう確定はしたものの、商品は間に合わなかった模様。まあ私は昨年、前金を支払ったうえ、最寄りのアニメイトで確保する手筈が整ってますので、いいんですけどね……いいんですけどね。このイベントのオリジナル商品は、スタッフもかけているサングラスのみ、度入りの眼鏡必須の私には無用の長物なので手を出さず、未購入の新刊と、お守り&お清め塩だけの購入に留めました。お陰でだいぶ予算が浮いてしまった。

 席に戻り、さっそく飲み始めて間もなく、机に置かれた照明が自動的に消灯して、開演です。毎年趣向を凝らすオープニングですが、今年はMIBに扮したダンサーたちが踊って異様な雰囲気を醸成します――それはいいんですが、如何せん、お清め場である広間はすべて客席、演者は廊下部分を使用しているため、動ける範囲が尋常でなく狭い。ちゃんと考えて振付はしているのでしょうが、それでも窮屈そうなのが若干気の毒でした。

 そしていよいよ本篇。テーマが宇宙人ですから、ある程度ラインナップの予想はしていましたが、その想像通り、前半は『黒い男たち』『黒い男たち2』のまさにMIBの絡むエピソードを繰りだし、そして前半の仕上げは、『新耳袋』のなかでも飛び抜けて異彩を放つ傑作『山の牧場』。予想はしてましたけど、本当にやるとは思いませんでした。私の参加した29日、『山の牧場』は唯一の女性キャストとして能登麻美子嬢が参加、いい具合にユーモアを交ぜて、状況描写ばかりになりがちな物語をうまく膨らませてました。主題に合わせて、思いっきり趣旨を“UFO”寄りに脚色してましたが、それもまた良し。

 ここで休憩時間です。とっくに空になったお酒やおつまみを追加してもらう合間に、出演者によるお酒の説明を含むトークが催されます。この金曜日は全日程で唯一、座長の茶風林氏がどうしても外せない収録のため欠席されているので、他の方が進行……既にそこそこ酒が入っていたせいか、演出助手として代理の座長を務める鶴岡聡氏が仕切ったのか、総務部担当の肘岡拓朗氏だったのか記憶が曖昧です……お声からすると肘岡氏だったはずなんですが、確信が持てないので暈かす。途中から原作の木原浩勝氏、実は最近は茶風林氏よりも出席率が高い気がする伊藤美紀嬢も交えて、プレゼントの抽選会も行い和気藹々と休憩時間は終了。

 第2部はたった1本、『ぎぃ』を上演。しかも登壇するのは主人公的位置づけの伊藤美紀嬢と謎の存在“ぎぃ”を演じる能登麻美子嬢のみ、という、トリを飾る長篇としては異色の作り。原作は数話に跨がりつつもコンパクトな印象だったのですが、その趣旨を大きく歪めることなく、最後にはほろりとする内容に脚色してます――しかしこのエピソード、恐らく伊藤美紀嬢に当て書きしたものと思われます。金麦じゃなくてプレミアムモルツ、とかいったくだりの飲んべえ感が、休憩時間に覗かせるご当人のキャラと被りすぎる。そのつもりで聴くと、あの結末は勇気づけられる一方で切なくもありますけど。

 以上で終了……正直なところ、内容としては密度が薄い、という印象が強かった。あと1、2篇あったほうが、テーマを掘り下げる意味でも良かったように思うのです。ただ、程よい匙加減であればこそ、上演中もずっと飲食が可能、というこのスタイルには適しているのかも知れません。語りはあくまで酒の肴、という位置づけで。

 思う存分飲んだので、充分にもとは取った――と言いたいところですが、さすがにちょっと飲み過ぎた模様。そんなに食べてないから、と思い、帰宅後に夕食を摂ったのですが、食後しばらくして吐き気に襲われ嘔吐。戻したらすぐにスッキリしましたが、驚いたのは、流しに残った吐瀉物の黒さです……本日のお酒『ど黒』は竹炭パウダーを混ぜた、名前に相応しい漆黒のどぶろく。参加すると貰えるぐい飲みも、「持ち帰ってもいい』と言われお土産にしてきたオリジナルラベルの空瓶も、底には真っ黒い沈殿物が残るほどの代物です。たぶん、その澱まで飲んでしまったのが、胃には堪えたのでしょう……お陰で、土曜日いっぱいグロッキーでした。松江で催される『怪し会 八雲』でもこれが饗されるようなら、少し飲み方は考えた方がいいな〜……。

 ――そうなのです。今年は遂に、松江で開催される『怪し会 八雲』にもお邪魔することにしました。この『怪し会 黒』のチケットを確保する時点で、『〜八雲』のチケットとセットを狙っており、無事に確保できたがゆえに、前後の日程や移動手段について、このあいだから頭を悩ませていたわけです。

 きのう旅行代理店にお願いしたことで、おおまかなスケジュールも固まってきました。もはやあんまり悩むことはありません。ただその日を楽しみに待つのみ……まあその前に、まだ発売になってない交通手段の確定とか、残りの費用の支払いとかが控えてますけどね。

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