2014年に日本でも劇場公開された、ダリオ・アルジェント監督による吸血鬼物語をレンタルのDVDで鑑賞。職を求めて移り住んだ土地で、若き夫婦が吸血鬼の恐怖に晒される。
アルジェント監督の作品って多かれ少なかれ、ツッコミどころはあります。しかしこれはちょっと多すぎでしょう。最初に犠牲になる女性の行動に始まって、絵として平板すぎる駅の描写とか不自然すぎる街の人たちの反応とか。ドラキュラがちゃんと予兆を伴って出没するのに、ヴァン・ヘルシングはなんでいつの間にか室内にいるの。異常に強いし。ドラキュラ以上にやべえよあなた。
ただ、すごく気持ちは解るのです。きっとこういうシーンが欲しかったんだろうな、どうしても入れたかったんだろうな、というのが察せられるし、そこにアルジェントなりの美学も感じられるので、彼の作品を好きで観続けたような人なら隅々まで楽しめるつくりではある。
あと、本篇を読み解く上で、タイトルに“3D”が掲げられていたことは覚えておくべきかも。もともとこの作品は3Dでの上映を想定して製作されていたので、立体的に見えることで効果を発揮する構図が少なくない。また、3Dに加工する大前提があるから、どうしてもCGに依存するところが増えてしまったのも、アルジェントらしいけれど不自然な映像が目につく原因だと思う。ちなみに、日本での劇場公開時は2Dになってましたが、ファンからのリクエストが多かったようで、期間限定、字幕なしでの3D上映も実施されていました――さすがにハードルが高い、とちょっと腰が引けてしまったせいで、劇場で観るタイミングを逸してしまったのがちょっと悔やまれる。
ちなみに本篇のあと、アルジェント監督は新作を発表してません。だいぶ前から“The Sandman”という作品がリストに載ってたんですが、それがなかなか完成に漕ぎつけずにいるあいだに、新しいスリラーが準備中になった模様。来年か、再来年あたりには観られるんだろうか。
コメント
[…] 原題:“Dracula 3D” / 原作:ブラム・ストーカー / 監督:ダリオ・アルジェント […]