今週末も楽しみにしていた新作がようやく封切られてます。が、きょうは上映回数が限られている企画ものを優先することに。
行き先は、神保町シアター。常に何らかの特集上映を行っていたここも、緊急事態宣言のあいだはもちろん休館、先日再開してからも、他のように前日販売は再開せず当日券のみで対応している。しかも、もともと100に満たない座席をはんぶん潰しているので、出遅れるとチケットが買えなくなる可能性もなきにしもあらず。開映時刻は11時ですが、確実に鑑賞するため、チケットの販売を始める10時には到着するように移動しました。
着いてみると、列は出来てますが、仮にこれがすべて同じ作品目当てでも間に合う程度。実際のところ、わたしの前に並んでいた女性らは『ジュヴナイル』が目当てだったようでしたし、確保できた整理番号も4番と、むしろ早すぎるくらいだった。
付近の開いている古本屋をぶらぶらと眺め、最終的に新刊書店でお里の知れる文庫2冊ほど購入してから映画館に戻り、いよいよ鑑賞。
本日の作品は、“映画の夏時間”と題した特集の一環として上映された1本、小津安二郎監督1956年の作品、子供を亡くして以来すれ違いの続くサラリーマン夫婦の悲哀を描いた『早春(1956)』(松竹初公開時配給)。見出しにもあるとおり、今年、映画館で鑑賞する50本目の作品です。
お馴染みの構図とテンポで構成されたまさに小津そのもの、な作品なんですが、しかし笠智衆が中心となった、家族関係を軸にした作品と異なり、高度成長期を前にして増えていた若いサラリーマンの夫婦が中心となっている。毎朝の通勤の大混雑、東京駅から溢れる同じような服装の人々、といった光景に、独身を謳歌する女性や夫に反抗する妻、というような、この頃から顕著になってきた価値観が盛り込まれている。いま観ると、もっと激しい修羅場に発展してもよさそうなところが、微温的に決着がついてしまうところがこの当時らしい、というか小津安二郎らしい落とし方と言うべきか。そうでなくてもゆったりとしていて、ひとによっては退屈しやすい作りの小津映画で、本篇は最長の2時間24分ですから、慣れてないとかなりキツいかも知れません。小津作品が好きで観に来てる私でも眠かったくらいだし……。
鑑賞を終えて、映画館を出ようとすると、しとしと雨が降っていた。
……おれ、自転車で来ちゃったんだけど。
出る直前の天気予報だと、帰宅の時間くらいまで大丈夫そうだったので、思い切って出てきたというのに、裏切られた気分。とりあえず自宅にいる母に電話して、迎えを打診してみたものの、どうもいまの我が家の車に私の自転車が詰めるか微妙なところらしい。無駄足になっても悪いですし、ある程度は濡れるのは覚悟してなかったわけでもないので、自力で帰宅することに。
いちおう近くの100円ショップで雨具を探してはみた。置いてはありましたが、強風も吹いているこの陽気ではいささか心許ない作り。店を出てみると、思ったほどの降りではないので、もう諦めて自転車を出してしまった。
幸い、自宅まで大降りになることもなく、あまり濡れずに辿り着きました。この有様で外食は出来ないので、途中のコンビニで買ったカップ麺で昼食を済ませる……いちおう神保町界隈のラーメン店、調べてあったんだけど、それは次の機会に――果たしていつになるやら。
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