昨年5月リリースの『呪いの黙示録 第三章』を鑑賞。ネットで流行した交霊術に挑戦した女性の災難“生き人形遊び”、飲み明かした女性ふたりが外飲みをしていて遭遇した恐怖“公園”、30年前に部活の様子を撮影した映像に記録された怪異“体育館の幽霊”、やたらと現地取材を急かす投稿者との出会いから始まる連作“祟られる山道”“黒星”の全5篇を収録。
第一夜で悪目立ちした演出補は未だ戻らず、そればかりかメインディレクターである寺内康太郎までもスケジュールがかち合って不参加、代理としてウンノヨウジというディレクターが仕切ってます。どうなってるんだここのスタッフ。
演出が変わってますが、きちんと寺内康太郎のスタイル、作品の雰囲気を踏襲しているのは偉い。もともとそういう作風だから合わせやすかったのかも知れませんが、私は今回のディレクターの作品は初めて観るのでその辺は不明。
ただ不思議なことに、全体の出来はやっぱり落ちる印象。怪奇現象の発生が全般に不自然、かつ類型的で物足りないし、スタッフが災難に遭う連作に至っては、新しいディレクターといまいち反りが合わなかったり、四六時中スタッフにもカメラを向けることへの違和感など愚痴をやたらと採り上げているのがどうにも鬱陶しい。連作スタイルで描かれる長篇のエピソードは、背景や展開はなかなか面白いんですが、一部の登場人物の芝居臭さも含めて、全体に本物っぽさが損なわれているのも気になるところ。
常々思ってるのですが、演出補などのスタッフを演者のひとりとして扱う手法は、“取材”というプロセスに真実味を添えるうまい手法ではあるものの、出しゃばりすぎると、怪奇現象やそれを巡る恐怖が主題なのか、スタッフの右往左往を楽しむほうがメインなのか解らなくなる。そのドタバタ自体が面白くてホラーとしても怖さ、説得力があれば最善なのですが、よっぽど気配りが行き届いていないとアンバランスになってしまう。前巻まででも、スタッフ同士のいざこざが邪魔、という印象はあったのですが、ディレクターが代わったことで余計に違和感が強まった気がします。
現時点で既に第四章もリリースされてますが、果たして寺内康太郎ディレクターは戻っているのか。戻っているとしても、あんましスタッフ同士の対立に焦点を当てすぎてないといけないんだが。
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