今月三度目のタダ観。

 という書き方は微妙に人聞きが悪い。なぜか解りませんが今月は映画鑑賞券の当たり月らしく、『イーオン・フラックス』『ライフ・イズ・ビューティフル』に続き、みたび上映会のチケットに当選しました、ので夕方から新宿へ。例によってわざわざちょっと早めに現地入りして、三省堂書店で文庫ばかり確保してから会場となる明治安田生命ホールへ。例によって試写状一枚でふたりまで入場可能だったのですが、こういうのが当たるたびにお誘いしている某氏は珍しくイベントがかち合ってしまったので、なかば意地悪で冬野さんをお招きしてみました。外れても恨むなよ。

 ……と、微妙に不穏な前置きをつけてご紹介するその作品は、レイ・ブラッドベリの名作短篇を原作にしながらなぜかSFスペクタクル大作となったサウンド・オブ・サンダー』(松竹・配給)。……わたしの日記を前々から御覧の方はぼんやりとご記憶のことと思いますが、この作品、当初は昨年頭から夏ぐらいの間に公開される予定で、公式サイトもその頃にいちどアップされていました。が、ある時期を境に配給会社の予定表から姿を消し、公式サイトは「アクセスが許可されていません」と表示されるようになってしまった。やがてようやく公開されたアメリカからは芳しくない評価ばかりが届けられる……こりゃもう日本には入ってこないか、と諦めかかっていた昨年末頃に突如、ふたたび予告が打たれるようになった、という代物です。もうそういう前提があるだけで不安を抱くに充分ですが、却って興味の湧いたわたしは公開をけっこう本気で心待ちにしてました。出来はどうでもいいからとにかく観たい、と。それ故に試写会の懸賞にも応募したわけです。

 では肝心の作品の出来はどうだったかというと……ある意味で予想通り、ある意味で予想以上でした。原作は外枠の断片を留めるのみで、どこのすちゃらかジュラシック・パークですかここわ、という内容。タイム・パラドックスの認識は甘いし進化の論理がぐちゃぐちゃだし、理屈よりもまず要素だけ掻き集めて、あとはハリウッドお馴染みの文法に当て嵌めただけ、という感じ。

 が、しかし、それを予測したうえで割り切って観ると、これが予想以上に楽しい。ツッコミどころもなく凡庸な映画よりも数十倍堪能出来るかも知れません。その組み立てから帰納的に推測すると、無茶苦茶なパーツを前に途方に暮れながらも奮闘する一部の製作者の姿が思い浮かんで、ある意味感動的ですらあります。一級のSFを期待せず、それっぽく作りあげたC級娯楽大作、というつもりで気楽に鑑賞すれば、色々と楽しめるはずです。

 ……なんかこれでだいたい言い尽くした気はしますが、いずれにしても詳しい感想は後日、このへんにアップいたします。なんにしても、ちゃんとした感想でもこの点は繰り返し記すつもりですが、“観る前でもあとでもいいので、いちど原作に目を通してください。こんなんじゃないから。とだけは申し上げておきます……

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