実はつい2日前まで、今日の出来事は予想してませんでした。
何気なく検索をかけたのか、それともChromeのトップに表示される、関心のある内容のニュース一覧にぷいっと情報が出てきたのか、はっきりと覚えていません。しかし、ここで初めて《放送禁止》シリーズ最新作の封切りが来週の13日に迫っており、先駆けた本日のイベントが開催されることを知ったのです。
当然チケットは発売済、開催2日前じゃ売り切れてるだろうな、と思いつつ確認してみたら――買える。当日はひな祭りと言い条、あくまでも平日、そんな日に一気に売り切れるものではなかったのでしょう。
ただ、正直に言えば、悩みました。なにせ本当に一昨日まで考えてもいなかったので、透析のスケジュールを調整していない。いつも通りに土曜日を休みにしているので、今日の夜に透析を空けるには、除水が不十分かも知れない。
でもけっきょくはチケットを購入してしまいました。だって、普段は週6で透析を実施していて、充分に足りていることは月にいちどの診察で証明されている。月曜夜の透析で引けるところまで引いて、もし余りすぎているようなら、透析休みを来週末まで延ばせばいい。
もっとも実際には、そこまで体重が増えなかったので、日曜、月曜の2日で除水量の基準となるドライウェイトまで除水出来てしまった。それでも透析時間は長いだけいいので、次に透析を空ける日付はちょっと調整していくつもりですが、少なくとも今日、出かけることの罪悪感は薄れました。
というわけで夕方からお出かけし、向かったのはユナイテッド・シネマ アクアシティお台場です。だいぶ久し振りである。
晴れていればバイクで行くのが一番簡単なのですが、駐める場所かが少ないのがネック。しかし、冷たい雨が降る悪天ゆえ、考えるまでもなく電車を利用。レインウェアはあるんだけど、出先での保管が厄介なので、けっきょく公共交通になるのだ。
鑑賞したのは、23年前の深夜に放送され話題を博し、その後、空白期間がありつつも続いてきたシリーズの9年ぶりとなる最新作、ひとりの男と3人の妻、という奇妙な共同生活を追いながらも、発表されなかった映像の秘密を炙り出すフェイク・ドキュメンタリー『放送禁止 ぼくの3人の妻』(渋谷プロダクション配給)。
中身について触れる前に、本篇上映前に実施された舞台挨拶についてざっと触れます。
司会である映画パーソナリティ・コトブキツカサの呼び込みで登壇したのは、かねてからこのシリーズのファンで今や公式アンバサダーとなったくりぃむしちゅー・有田哲平、そして監督・脚本の長井俊和。
有田自身、完成版は1時間前に別の劇場で観たばっかりらしい。明言はしなかったけど恐らくフジテレビ社屋内の試写室だと思う。お陰で気分的には、この作品特有のモヤモヤ感と試行錯誤で、舞台挨拶どころじゃないらしい。
といいつつも、魅力を語り始めたらまあ止まらない。入ったのは最初の劇場版の前後だったそうですが、どっぷりハマって、布教しまくったという。カラオケボックスに友人を連れて赴き、モニターを使ってDVDを鑑賞させ意見交換する、ということをしていたらしい。劇場版でやると朝までかかるそうな……そりゃ意見交換したりしてれば、ねえ。
監督の話によれば、そもそもこのシリーズ誕生の経緯は、2時間特番でUFOを題材としたフェイク・ドキュメンタリーを企画したことにあったそうです。紆余曲折あって、深夜の1時間枠で放送されることになり、規模の縮小によってホラー・テイストになった。蛾、スタッフの中にオカルトが嫌いな人がいて、「ミステリ要素を入れてはどうか」という提案が撮影ギリギリであって、書き直した結果があの仕上がりらしい。
なにせ、鑑賞の仕方も解らないまま突然放送されたため、放送局には抗議のファックスが届いたそうですが、それはむしろ関心を惹きつけた証拠、というわけで、第2作の制作と相成った。しかし、もうちょっと解りやすくして欲しい、という要望があり、のちに後日談が劇場用映画となった大家族のエピソードが誕生、あれよあれよという間に、こんなにも続いてしまった。監督自身も、何故受けているのか、完全には理解していないそうな。
制作する上でも、解りやすさと難しさの匙加減に苦心したとのこと。脚本を書き上げたあとで10日くらい寝かせ、編集が済んでも、2週間後ぐらいに観直して、「解りやすすぎるか」「ちょっと難しいか?」と調整を繰り返していたという。結果としては、だいぶ自信のある仕上がりになったようです。
有田曰く、このシリーズは人と意見交換して摺り合わせるのも面白いけれど、自分で読み解くのがいい。観終わって、モヤモヤ感を味わいつつ、描写を反復して読み解く。それでも正解がすべて解らないのが、また楽しみ。有田は長江監督と別の仕事も一緒にしている1ため、聞こうと思えば正解を知ることも出来るけれど、それをしては面白くない。一方の監督も、そういうファンの心情を知っているので、あまり語ることが出来ないという。全員なかなかのジレンマである。
しかし、恐らくはそういう、ファンや作り手の心境を理解したうえ、本篇前での舞台挨拶実施となったのでしょう。内容を知っていればネタばらしを遠慮せずに語れるけれど、本篇の場合、すぐに紐解かないからこそ面白い。よいイベントでした――たぶんそれも仕掛けの一部であったはずの、“3人の妻”というタイトルにかけて3月3日、スクリーン3で実施したことにも触れてないのはもったいない気がしましたけど。まさかたまたまとは言うまい!
――何はともあれ、いよいよ本篇の上映です。
この作品はいちど“見せかけ”のドキュメンタリーそのものとして味わって、次第に違和感に気づく、というのも一興だと思うので、とりあえずは素直に身を委ねる……と言い条、目は焦点以外のところを捜してしまうわけですが。
ただ、そういう風に“見せかけ”メインにしても、かなり面白い。ひとりの男と3人の妻、という現代日本においては奇異な生活スタイルを送る4人を取材しているのですが、端々に危うい要素がちらつく。かなり早いうちから変な話が出てくるのですが、それが次第に異様な緊迫感を帯びていく。
実際に剣呑な出来事が起きるものの、なかなか手がかりのようなものは掴みにくい。が、ある一瞬から一気にピースが繋がっていく。このラストの感覚が相変わらずたまらない。
舞台挨拶の最後に有田が「ここの全員と一緒に飲みに行きたい」と言っていましたが、その心境はわく解ります。きちんと観た人、それも直近に観た人と、新鮮な感想、解釈を語り合いたくなる。それで自分の理解を補強するもよし、気づかなかった事実を指摘されてゾクッとするのもまた良し。まさに、そういう楽しみ方が出来る、シリーズのらしさが発揮された作品でした。
かく言う私も、いちおう大枠は理解したつもりですが、その伏線や、仄めかす描写をきちんと拾いきってはいないはずなので、早くももういちど観たくなってます。正式な公開は来週の3月13日……あんまりやらないことだけど、劇場でもういっかいくらいは観るかも知れぬ。
なお今回、付近で食事は摂りませんでした。
時間的にも微妙、というのもありましたが、いちばんの理由は、この映画巻に来たとき、よく利用していたラーメン国技館 舞が改装中で、リニューアルオープンが来週の12日だということだったりする……他にも店はあるけれど、使い慣れないところで食べてしまうと、時間の調整を誤りかねない。というわけで、映画館にてフライドポテトを購入して小腹を満たし、きちんとした夕食は帰宅後に摂りました。

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて催された『放送禁止 ぼくの3人の妻』フォトセッションにて撮影。左が監督&脚本の長江俊和、右がアンバサダーの有田哲平。ちなみに、ポスター部分が不自然なのは、反射でほとんど細部が解らなかったので、もう少しマシに撮れたものを加工して重ねたからです。
- 恐らく『世界で一番怖い答え』のこと。[↩]


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