おばちゃんの中からシュワちゃんが出てくる奴だ。

 コロナ禍でやたらと不安や混乱の続いた2020年も残すところあと1ヶ月となりました。
 映画業界は、現時点で感染の広がりに影響を及ぼしていないことが認められ、全座席の開放や飲食の販売再開も可能になってきましたが、最大の供給元であるハリウッドが新作をかけにくい状況にあり、大きな洋画が日本に届かない。ランキングがほとんど邦画、しかも過半数をアニメが占めてる。と それはそれである種喜ぶべき面もあるのですが、もともとが海外のミステリ・サスペンス系やアクションが好きで映画館に通い始めた私にはちょっと複雑。なので、これぞ! というのが出て来たら、すぐに飛びついてしまう感覚になってます。本日のもそんな風に、存在を発見した時点で、もう観に行くことを決めていた1本でした。

 朝からバイクにて出かけたのは、TOHOシネマズ新宿。鑑賞したのは、1990年公開のアーノルド・シュワルツェネッガー主演作、フィリップ・K・ディックの小説をもとに、捏造された記憶に翻弄される男の冒険を描くトータル・リコール(1990・4Kデジタルリマスター・字幕)』(Regents配給)。この頃はまだ映画好きにはほど遠かった一方、シュワちゃんだけはぽつぽつ観ていた。中でも好きなのは『ターミネーター2』と『トゥルーライズ』、そしてこれだったのです。ちょーど他に観たい作品がなかなか封切られず悩ましいなかで、これをかけてくれるならば観ないわけにはいかない。
 率直に言えば、デジタルリマスターの質は思ったほど良くない。『地獄の黙示録』とか『七人の侍』とか、もともと歴史的評価が高かったり権利所有者が熱心で定期的にマスターが更新されてるような作品と比べると、どうも処理が粗い印象です。とはいえ、ちゃんとリマスターを施すことで、次世代でのブラッシュアップにまた期待が出来るので、それはそれで有り難い。
 そして、映像の善し悪しは別にして、やっぱり面白い。フィリップ・K・ディックらしい、自らの存在に対する懐疑を膨らませる主題と、それを巧みに操って演出する衝撃に満ちた展開。それに加え、趣向に富み、かつ容赦のないアクション描写で、終始魅せられます。まだCGが活用される以前で、ミニチュアやブルーバックを駆使した特撮は無骨ですが、CGとは違う生々しさは、昨今のSF映画にはない味がある――これに近いテイストを実現してるのって、もしかしたらクリストファー・ノーランぐらいではなかろうか。鮮明なキャラクター性に毒々しいユーモアも楽しく、いま観ても充分に通用するエンタテインメント。公開後にフィリップ・K・ディック作品の映像化が相次いだこともそうですが、その後のB級SF映画に及ぼした影響も大きい作品だと思う。
 ちなみに本日は映画の日。誰でも1000円で観られる、ということもあってか、平日の午前中としてはまあまあ人出がある。しかし、『トータル・リコール』を観ているのはだいたいおっさんの独り客だった気がします、私含めて。もうちょっと若い子にも観て欲しい、面白いんだから。

 鑑賞後は、映画館と同じ番地にある焼きあご塩らー麺 たかはし 歌舞伎町店にて昼食。相変わらず保守的な私は定番の焼きあご塩らー麺、なんですが今回はトッピングに岩のりと、白めしの小を注文。こうしたラーメン店では、麺を食べたあとにライスを投入しておじや風、或いは出汁茶漬け風にして楽しむことを推奨している。ふだんはやらないんですが、ここの分量と味付けなら私の脆い胃腸でも楽しめそうだったのでチャレンジしてみた。
 ……ちょっと、濃かった。
 自宅にお茶づけ海苔が常備されてるくらいお茶漬け好きですが、基本的に薄めにしている。ここのスープをお茶漬けの出汁代わりに投入すると、私の感覚ではちょっと濃すぎた。何かで薄めたかった……割りスープでなくても、ただのお湯でもいいから欲しかった。
 しかし美味しいのは間違いない。最後にお茶漬けで楽しむために、別皿で提供される岩のりを残しておいて、投入するタイミングを調整すると、岩のりの味も香ばしい風味も楽しめる。私のように胃弱気味だと少々分量が多すぎるきらいはありますが、お腹が空いてるときにまた試したい。

コメント

  1. […] 原題:“Total Recall” / 原作:フィリップ・K・ディック『記憶売ります』 / 監督:ポール・ヴァーホーヴェン /  […]

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