何かを成し遂げるのに、遅すぎることはない。

 本日は今年2度目の東京国際映画祭鑑賞……そしてこれがクロージングです。新宿も会場に含まれていれば、そしてつけ麺博以上に惹きつける作品があれば足を運んでたんですが……どっちにしても私個人の問題。
 今日は地味に忙しく、午前中はまたぞろ容量パンパンになったレコーダーのハードディスクの整理をし、そののち月に1度のクリニック通院。透析ではどうしようもない問題を、たくさんのお薬で補っている私は、診察の日付をあとにずらしにくいのです。常に若干のストックはありますが、診察が遅くなるとけっこう厄介なので。
 先行した採血でも数値に問題はなく、診察は速やかに終了。いったん家に帰り、昼食と仮眠を済ませて、薬局に処方薬を受け取りに行く。家に戻り、出かけるまでのあいだに出来るだけ薬の袋分けをして、頃合いを見て、ようやく映画館へ。
 日比谷のTOHOシネマズシャンテにて鑑賞したのは、黒澤明の傑作をカズオ・イシグロ脚色、ビル・ナイ主演にてロンドンを舞台にリメイク、余命宣告された紳士の再生を描く『生きる LIVING』(東宝配給)
 期待はしてましたが、完璧と言っていい翻案でした。舞台をロンドンにしたことに合わせ、色々なところがあちらの文化に置き換えられてますが、基本構成はほぼ変えてない。抑制の効いた表現で丁寧に物語を紡ぎながら、尺はごく適切。
 それと同時に、ものすごく気の利いたアレンジも施されている。オリジナルの冒頭にあるナレーションを廃する一方、役所に就職した新人を最初の視点として用いることで、主人公の機械的、頽廃的な日常を印象づける。その一方で、極めて抑えて描かれるクライマックスを、更に趣のあるものにしてます。
 あえてスクリーンサイズをスタンダードにしたり、カメラを大きく動かすところを減らしたり、と昔ながらの映画のトーンを踏襲することで、新作にして古典めいた風格すら醸している。そして、ほぼ出ずっぱりで演じるビル・ナイが素晴らしい。
 まるっきり同じ感じなら観る必要はない、と捉えるひともいるかも知れませんが、場所を移し文化を置き換えても、その精神を継承する作り方そのものに作家性、創意を感じる。とても味わい深い傑作でした。
 日本での劇場公開は来年春の予定だそうです。たぶん私はもう1回観に行く。

 終映は20時半頃、近隣で夕食を摂るのも億劫なので、素直に帰宅しました――どのみち、食べに行くとしてもまたラーメンだし。今週は特に何度も大つけ麺博を訪れているうえ、なんなら明日も行く予定だし。

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