『海に眠るダイヤモンド　第１話地底の闇を切りひらく』

　今期は観たいと思ってたドラマが多いです。なかでもこれは特に気になっていた１本。『ラストマイル』などを手がけたスタッフによる新作……というより、舞台が長崎・端島であることと、島の僧侶役でさだまさしが出演してることが私にとっては重要なんですが。
　2018年の新宿でホストをしている玲央は、異様に金払いのいい年輩の女性・いづみに促されるまま長崎へ赴く。軍艦島へのツアーに向かう途中で突如としていづみは泣き崩れる。そこで物語は1955年に遡り、人で溢れかえり活気づいていた時代の端島に移る。
　……正直、話の筋よりも、端島の描写にゾクゾクしました。むろん現物はおろか、リアルタイムで人がいるところを見たことはないんですが、『ブラタモリ』など、ここを詳細に紹介した映像から想像した、活気のある時代の端島が、ＣＧと壮大なセットで見事に映像化されてる。日本屈指の人口密度を誇った島の人々の距離感、狭さに似合わぬ多様性も、しっかり感じ取れます。
　そしてその中に、世界遺産となったいまでは見落とされがちな採掘作業の壮絶さと、炭鉱員やその家族に向けられる差別もきちんと盛り込んでいる。
　物語全体は今のところ、どこへ向かおうとしているのかは明確ではありません。ただ、1955年のパートも2018年のパートも、ままならぬ現状にもがく若者を描き、どうやらその両者に絡むらしい老婦人・いづみの謎で繋いでいる。
　丁寧な考証と巧みなストーリーテリング、そして予算を注ぎ込んだセット。目当てのさだまさしの出番は少なかったですが、充分に魅せられる初回です。次回にも期待が持てる……けど、来週は衆院選につき、いきなりお休み。致し方ないとは言え、もったいないなあ。