人を呪わば穴二つ。[レンタルDVD鑑賞日記その748]

 久々に怪奇ドキュメンタリーを借りました。2021年10月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ94』です。不動産会社に勤務する男性が物件紹介のために撮った動画に奇妙なものが映り込む“ベランダ”、匿名の投稿者から贈られた謎の映像“顔顔顔”、92巻で出会った女性から渡された異様な画像を巡る怪異を追った前後篇“続・おまじない”など、全8篇を収録。
 最近は微妙な出来の映像も多いこのシリーズ、今回も「さすがにこれは」レベルの違和感ありありな映像が多い。とはいえ、見せ方の工夫はしっかりしていて、ある程度楽しめる巧さは認めないわけにはいかない。特に、粗筋を記した“ベランダ”や“顔顔顔”は、映像的な不自然さは拭えないながらも、シチュエーションには惹かれてしまう。
 長篇は、ふたつ前の巻の関係者が自ら接触してきて新たな調査が始まる、という、ありそうでちょっと珍しい構成。しかも、関係者がどういう位置づけだったか、というのを記憶していると、その図々しさに衝撃を受けます。
 そこからの経緯は、まさにこういう怪奇ドキュメンタリーの体裁で組み立てられている作品ならでは。身勝手な依頼者や、その言動に振り回された人びとの思惑が絡みあって起こる怪異。それが最終的に、もはや誰が原因でどんな影響が及んでいるのか把握出来ない状態になる怖さ。「継続して調査する」、と締めくくっているので、既にリリースされている95巻、或いは6月にリリースされる96巻以降で更に掘り下げていくのかも……だとしたら、夏場恒例の3巻連続ネタになるんだろうか。
 モヤモヤ感を残すのも、すべてを炙り出すことは難しい怪奇ドキュメンタリーならではの面白さですが、なにせこの話は出てくる人物の言動にザワつく。何らかのかたちで決着するまで追ってくれることを祈りたい……もはや向こうの思う壺だ、と悟りつつも。

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