通わないと食べられない味。

 4月4日の映画鑑賞のあとの話。

 この日は映画鑑賞はもちろんのこと、昼食も目的のひとつでした。
 だいぶ前から、錦糸町に来たとき食事をするお店として、ときどき利用していた双麺 錦糸町店では、スタンプカードを用意している。ラーメン1杯注文するごとにスタンプが捺され、個数に応じて味玉や鉄鍋餃子などを追加してもらえる。そして、10個貯めると、ラーメン1杯と交換できる。
 ここまでなら行っているラーメン店は他にもありますが、ここが珍しいのは、スタンプ10個で注文できるのが普通のラーメンだけでなく、数に応じた限定麺になっている点。基本的にここのつけ麺が好きで通っている私ですが、たまには違うものも食べてみたいし、スタンプカード以外では注文できない、となれば、限られた機会を逃す手はない。次に来たときには、必ず頼む気でいました。
 ……が、実はそのせいで、却って脚を運ぶ時期に悩み、貯まってからふた月以上間が空いてしまったのです。
 というのも、前回の来店にてスタンプカードが貯まった際、限定麺を注文する場合、時間がかかるので余裕を持って来店して欲しい、と言われていた。通常とは違う仕込みを行わねばならないので、どうしても時間がかかるらしい。だとすると、お昼時ど真ん中の時間帯に注文すると先方に迷惑をかけてしまうかも、と思ってしまった。そのため、錦糸町に訪れる可能性が出来ても、来店がお昼時まっただ中に差しかかりそうなら断念していたのです。
 そんなこんなで2ヶ月以上が経ち、今回、ようやくちょうどいい頃合いに来店出来る予定が組めた。満を持しての訪問です。

双麺 錦糸町店の鉄鍋餃子。

 しかし、最初に頂いたのはこちらの鉄鍋餃子。食が細いので、普通盛りでも充分お腹の膨れる私は、サイドメニューを頼むことがあんまりない。五郎さんが羨ましい。しかし、注文してから提供まで時間がかかるなら、こちらの腹ごなし、時間潰しも兼ねて、もう1品注文し、限定麺に先んじて出してもらったのです……権利とは言え、お金を払わずに食べるのが心苦しかった、というのもある。
 しかし、これはいい選択でした。表面はこんがり焼いてあるけれど皮はむちむち、餡は肉と野菜のバランスが適切で、ジューシーだけどサッパリとして実に食べやすい。限定麺の着丼までにカウンターを空けておきたいがため、ちょっと急ぎめで食べていたのですが、普通にラーメンのサイドとして頼んでも重たさがなく、箸休めとしてちょうどいい感じ。ランチセットでは豚とろ丼か餃子のいずれかを選択できるようなので、今度来るときはセットでの注文も検討しようかしら。
 そして、餃子があとひとつのところで、いよいよ限定麺が到着。

双麺 錦糸町店のプラチナ双麺らーめん、右隣は鉄鍋餃子最後の1個。

 その名もプラチナ双麺らーめん。器もしっかりプラチナ。
 白っぽいですが、胡麻味噌担々麺なのです。提供まで時間がかかるのは、使用する胡麻味噌の調理をその場で行わねばならないかららしい。見たところ、こねてお鍋にかけてじっくり火を加えて、といった工程だったようで、そこまで他の方への提供を妨げている様子ではないので、ちょっと安心。実際、私のあとから注文したひとが4~5人くらい、先に提供されてました。
 まずはスープを啜ってみる……いわゆる担々麺のイメージとはだいぶ違う印象。ピリ辛ではあるけれど辛味は遠くからやって来る感じで、それよりはまろやかでコクのある苦みが主体。大人の味わいです。
 具材は白髪葱に刻んだ青ネギ、糸唐辛子、散らした胡麻と、沈んでいて解りにくいけどチャーシューが1,2枚。何せ上に乗っている白髪葱がどのルートでも介入してくるので、ホロホロに煮込まれたチャーシューは箸であっさりと崩れてしまい、枚数が解りません。
 しかし、この具材は、それだけだと味わい深くても重たくなるスープに細かな変化を付けて、スムーズに箸を進めさせてくれます。白髪葱の歯応えに糸唐辛子の辛味、青ネギの爽やかな苦みと、チャーシューのコクが、うまく調和してます。
 麺は恐らく通常のラーメンと同じ中太ストレート麺。私の好みである縮れ麺だと、とろみのあるこのスープは絡みすぎてしまうので、最適の組み合わせ。
 それなりにあちこちで食べ歩いていますが、ちょっと他では接したことのないタイプのラーメン。胡麻味噌の丁寧な仕込みに食材や器の彩りもあって、確かにスペシャル感が堪能出来ます。スタンプカードで得た権利とは言い条、無料で戴いているのが申し訳なく思えるぐらい。普通に食べられたらいいのに……とはやっぱり言えないか。仕込みの様子だと、これをたくさん注文されては相当な負担になる。
 いずれにせよ、地道に通い続けて良かった、と思える1杯でした。残念なのは、さすがに胡麻味噌の濃度が高すぎて、終盤で飲むのがしんどくなってしまったこと。せっかく時間をかけて仕込んでくださったので、飲み干して帰りたかった……昼食時に、いつまでも席を埋めてしまうのも申し訳ないし、適当なところで断念せざるを得ない。

 ちなみに、スタンプカードの限定麺は、20杯目で重量1.5kgのスカイツリーらーめん、30杯目で黄金の鶏白湯らーめん、40杯に達すると6kgにも至る黄金のスカイツリーらーめんになる。基本的に食には淡泊、というか持病もあって量を食べるのも限界があるので、スカイツリーらーめんはちょっと注文しづらい。調べたところ、どうもシェアしても問題なさそうですが、そもそも私ゃ基本ひとりメシの人なので如何ともし難い。
 しかし、30杯目の鶏白湯は非情に気になるので、引き続きスタンプを貯めていこうと思います。まあ、仮にスタンプがなくなったとしても、ここの特徴的なつけ麺は好きなので、今後も通うのは間違いないんですけど。

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