『福家警部補の挨拶〜オッカムの剃刀〜』

 大倉崇裕氏が『刑事コロンボ』のひそみに倣って執筆した福家警部補シリーズが、永作博美という理想的な主演女優を得てドラマ化、本日放映されました。あまりにもイメージに合っていたので、密かに楽しみにしてました。

 そもそも非常に丁寧な倒叙推理に仕上がった作品でしたから、謎解きの出来には不安はなかったのですが、脚色が思いの外コミカルで、随所で弾けた演出をしていたのにびっくり。単純にコロンボ風にしたり、『古畑任三郎』のようにやり取りだけでユーモアを添えるのでは同じになってしまいますから、脚色としては正解だと思います。被害者、脚が悪いはずなのにあそこまで派手にブレイクダンス踊るのはどーかと思いつつも、面白かったので私は許す。

 配役を知った時点で頷いてしまいましたが、やっぱり永作博美はこの主人公にぴったり合ってます。童顔で年齢不詳、でも推理力と妙な貫禄と押しの強さがある、という難しい肉付けを飄々とこなしている。捜査関係者までも無駄に個性的ですが、本筋を壊していないので問題なし。『古畑』でも犯人役を演じていた草刈正雄が相手ですが、こちらは更に入り組んだ計画かつ背景にも奥行きがあるので、よりいっそう存在感を示していたのも嬉しい。

 といった感じで、私にはとても満足のいく出来でした。視聴率次第では続篇もあり得るそうですが、是非実現させて貰いたいものです――でもその前に、原作の続刊が早くまとまることを祈りたい。

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