『輪廻』監督・脚本:清水崇/主演:優香/配給:東宝

 午前中、『THE有頂天ホテル』の舞台挨拶の回のチケットを買い逃した衝撃を引きずりつつ、早めの昼食を摂ってようやく家を出る。途中、バイクに給油し、今年に入って初めての本の買い物をしてから、目的地である有楽町入り。

 上映開始は1時10分、座席指定制なので少々早すぎたか、と思ったのですが、まあ中で待っていればいいだろう、とマリオン9階にある日劇PLEX2へ。……早すぎた、なんてもんではなかった。立ったままプログラムを読んでいると、劇場の係員がそそくさと近づいてきて、

「初回の上映が押しておりまして、2回目の上映は1時25分より、予告編なしで本編からの上映となります」

 といきなり説明してきた。まだ次の回を待つ客がさほど多くなく、1回目が上映中なので静かにしておきたかったからというのもあるのでしょうが、その後ひとりとか三・四人ぐらいを相手にいちいち説明して廻っているのを見るとなんとなく気の毒になってしまいました。もともと予告編つきであっても、本編のスタートは1時25分くらいなので、こっちとしてはさほど影響を感じなかったのですが。

 ただ、これから来る客はみな1時10分には上映が始まるものと捉えて来場するわけで、つまりその時刻ともなると、狭いロビーに多数の客が詰めかけて大混雑になってしまいました。遅れたことよりもこっちのほうがしんどかったりする。ちなみに、のちの場内アナウンスによれば、初回が押した原因は映写機のトラブルだったそうです。……よくあることだ気にするな。少なくとも2回目は無事に上映できたから私には問題なしだ!

 とまあ、そんなこんなで鑑賞したのは、『THE JUON―呪怨―』により日本人監督として初めて全米No.1及び興収1億円の快挙を成し遂げた清水崇監督の日本資本による最新作、優香を主演に招き、前世の因果をめぐる怪奇を描いたホラー映画輪廻』(東宝・配給)。『呪怨』からまるっきり離れた清水作品を観るのはこれが初めてだったので、どんなもんか、と一抹の不安を抱いてましたが、これはかなり良かった。ホラーとしてはやや弱まった印象ですが、映画としての完成度は増しているし、クライマックスの迫力は秀逸。何より主演の優香のホラー・クイーンぶりは喝采ものでした。詳しい感想は、「あらこんなところに伽椰子さんが。」からどうぞ。藤貴子はこのまま清水作品の常連と化していくのでしょうか。

 そして終演後は、優香・香里奈椎名桔平清水崇監督による舞台挨拶。珍しく初回ではなく2回目のみというスケジュールで、挨拶が始まってからもしばらく首を傾げていたのですが、途中の発言でようやく納得。そういや優香は毎週土曜日、TBS系列で放送されている生番組『王様のブランチ』に出演しているから、そちらをキャンセルしない限り舞台挨拶に登壇するなんて不可能なのです。なるほど。

 今回、一同は客席後方からひとりずつ入場したのですが、何故かそれぞれに妙な人物をひとりかふたり従えている。優香はイタリア人女性と白拍子香里奈はチャイナ・ドレス姿の女性ふたり、椎名桔平は鼓の奏者で、清水崇監督は背の高いフランス人。実はこれ、各人が前世占いを受けた結果を踏まえたものなのだそうです――ただし、椎名桔平タツノオトシゴだと言われたとかで、その更に前の経歴を引っ張ってきたということですし、清水監督に至っては占いの結果ではなくご自身がそう信じている前世の人物像を選んだらしい。……あの映画の趣旨とは微妙に合わないお遊びという気がしなくもありませんが、面白かったので良し。挨拶のあと、マスコミを対象にしたフォトセッションの様子も、後ろに各人の前世像が並んでいるのがやたらシュールでした。

 出演者全員が口を揃えて言うのは、清水監督の撮影現場はホラーを撮っているとは思えないほど和やかだった、という印象。実際、壇上の雰囲気も終始和やかであり、それ故に観客に対して「本当に怖かった?」と何度も訊ねているのがちょっと可笑しかった。

 挨拶は主演という立場上からまとめのコメントをしなければいけない優香に対して椎名桔平がやたらとプレッシャーをかけつつ終了。映画の中身とはまるで趣を異にした舞台挨拶でしたが、だからこそホラー映画っぽくない現場の様子や、率直な思い入れが伝わってきて、なかなか良いひと幕でした。

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