『ノロイ』再鑑賞。

 ……ひとりで観るもんじゃないな、これは。

 もともと『ほんとにあった呪いのビデオ』など、一般人が撮ったビデオをもとに取材・調査した映像とともに紹介する作品を手懸けていた監督なので、そのテイストを踏襲した作りにはものすごいリアルなおぞましさに充ち満ちているのですけれど、反面、そういうものを知らない人には異様な間の怖さであるとか、意味深な描写の気持ち悪さとかが解りにくいのかも。悲鳴を挙げていることよりも、なぜ悲鳴を挙げているのかを想像させる描写こそが本編の真髄なんですが、なんか批判している人の文章を読むとその辺が伝わっていないようです。その積み上げ方からして、見事な作品なんですけどね。

 ただ、観ていてちょっと違和感を覚えたのは、作中に登場するバラエティ番組の映像で、TVサイズで製作されたものを横幅をビスタサイズに合わせてしまったため、上下に表示されるテロップが切られてしまっていること。そういう不自然さを残すことで、映画館のビスタサイズ上映を念頭としない作りであったことを表現する手段だったのかも知れませんが、そのくだりについては天地のほうをスクリーンに合わせて、ちゃんとぜんぶ見えるようにしても良かった、という気もします。不要だから見せていないだけなのだけど、欠けていることが醸成する居心地の悪さ、というのも作品の持つ厭な雰囲気を助長している、という捉え方もあるので、一概に駄目、とは言い切れないのですが。

 それにしても、重要人物となっている松本まりかが事件との関わりを持つきっかけとなったロケに同伴したアンガールズはともかく、バラエティのコメンテーター的な立場でちらっと登場するだけの荒俣宏とかも普通に出演者として名前を並べておくのはどうなんでしょ。特別出演でもいいような。

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