『まんが日本昔ばなし』第三十回

 迂闊にもこれを観るのを忘れてました。次の回放送当日に泥縄式に鑑賞。

  • 絵姿女房

 ひょうろくは美しい女房の顔に見蕩れてすっかり仕事を怠けるようになってしまった。そこで女房は自分の絵姿を作ってひょうろくに持たせ仕事に赴かせるが、仕事をしては眺め、仕事をしては眺め、としているうちに、絵を飛ばしてしまう。それを拾ったのが、ナルシストのお殿様であったから大変なことに……

 危難を夫婦の絆で乗り越える話……と見えますが、お殿様はお殿様でけっこう健気であり、あの顛末は若干気の毒な気がします。そりゃ原因は彼自身にあるのだが。

 見蕩れて仕事をしなくなるほどの美女、という設定を、浮世絵風の作画で記号論的に再現することで違和感を齎すことを妨げているあたりは見事、なのですが、子供には解りにくい気がします。成長してから意味に気づく、という仕掛けと捉えれば侮りがたいことですが。

  • おんぶ狐

 ひとりで生きているよちよち歩きの狐。ときどき人間の子供に化けて村人に背負われては途中から岩や樹とすり替わってからかう、という悪戯を繰り返している。ほとほと困り果てた村人たちは、知恵者の力を借りて退治しようとする……

 えー、そんな展開ありか、と思いきや極めて人間的な方向に流れた、逆に意表を衝いた話。特に祟られたわけでもなく、罪悪感からああいう行動を選んだ“人間性”が残酷であり、他方愛おしくもある。いわゆる“昔話”の定石とは異なりますが、ある意味とてもリアルでいい話です。

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