『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス』第1話

 カリフォルニアから日本に帰還し、全寮制の男子校・桜咲学園に転入した芦屋瑞稀。本来“女”である瑞稀が性別を偽ってまで入り込んだのは、かつて憧れであった走り高跳びの選手・佐野泉に近づくためだった。ようやく巡り逢えた彼は、だがすっかり陸上部の幽霊部員と化しており、終始ふて腐れた態度を取っている。それぞれが競い合う変わった寮制度にも戸惑いつつ、瑞稀の“男子校”生活は始まった……

 飛行機雲を利用した「この番組はフィクションです。多少のことは大目に見てください」というテロップを見た瞬間趣旨が掴めました。お陰様でいきなり「女子高生の出待ち大勢」「顔で生徒を選んでる」という独自設定が繰り出されても平然としていられました。ていうか堀北真希がとても一所懸命に“少年”を演じているのが好ましくてもうそれだけでOKと言ってしまいそうだよ。少なくとも、テレビドラマにおける堀北真希の役柄ではいちばん彼女の雰囲気、演技の質が活きていることは間違いない。

 しかし第1話だけ観た印象は、堀北真希抜きにしても原作読者であることを抜きにしてもけっこう好感触です。もう割り切って映像を加工しまくったファンタジックな画面作り、異様な世界であることを認識した上での徹底したお遊びなど、やりたいことが明確なので、まさに多少は突拍子のないことも大目に見られる、というかそれ自体が愉しい。朝顔が使えないとか腰にタオル1枚でシャンプー借りに来るとか、お約束をきっちりフォローしてくすぐるテンポも優秀。青春ものの定石であるクライマックス部分も、わざとらしさを消す工夫が利いている。そのあたりをまったくわきまえずどっちらけで失敗作となった『鉄板少女アカネ!』と比べれば格段に面白い。

 本来あと1時間ぐらい早めにかけるべきドラマじゃなかろーか、という気はするのですが、まあそれは些細な問題。約3ヶ月、たっぷり楽しめそうです。

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