ネットの森はオオカミで溢れている。

 ここに来て3度目の緊急事態宣言、しかも初回と同様に休業要請対象に映画館も含まれる厳しめのもの……個人的に、身辺にまっっったく感染の話を聞かず、映画館や飲食店含めても訪問先での報告もないので、とばっちり感が否めないのですが、しかし皆様が休業に効果がある、と信じて断行する、というなら従うしかない。
 とはいえ発令は25日から。今朝、出かけた段階では映画館の営業も不透明なままですし、何より、チケットはもう確保してあるので、ひとまずは出かけてきました。

 今回の目的地は、2ヶ月ぶりの新宿武蔵野館。移動はバイクです。街乗りには絶好の陽気なので、近場の駐車場が埋まっていないか心配でしたが、案に相違してガラッガラ。さすがに世間のひとは警戒してるのか……と思いきや、お昼を済ませて戻ってきたときには9割方埋まってました。人出も増えているのは、やはり駆け込み需要だろうか、これも。
 鑑賞したのは、チェコのドキュメンタリー作家が3人の偽者の“少女”を用意、一定のルールでSNSに登録させるとどうなるのか? を観察、記録した、禁断の実験ドキュメンタリーSNS 少女たちの10日間 』(HARK配給)
 発想がだいぶ危険で、しかしそれを様々な専門家の助言を得つつ真摯に掘り下げようとしたスタンスに興味を惹かれて、公開直後に鑑賞してみたわけです。
 こういう言い方は、主題からすると不謹慎でもありますが、実に面白かった。
 本題は、偽者の少女たちと、彼女に群がるSNS上の“悪意”を捉えることなんですが、本篇は女優のオーディション段階から織り込んで、キャラクターを構築していくところまで見せていく。なにが驚きかって、オーディション参加者の2/3に、ネットワークを介した性的虐待の体験があった、という点。もしかしたら、そもそも企画の趣旨が伝わっているからこそ、そういう経験をした女性が参加を考えた、という経緯もあったかも知れませんが、それにしても。
 そして、本題が始まると、その展開の早さと量に慄然とします。これでもスタッフはそうとう腐心して“見られる”水準にまでまとめたようですが、嫌悪感で目を背けてしまうひとも多いはず。こういう描き方を醜悪と感じる向きもあるとは思う。でも、これはある時代の、SNSというシステムによって抽出される欲望のサンプルとして、とても優れた作品であることは間違いない。
 本篇の素材を元に動き始めた、という警察の捜査の結末については劇中で触れていない。やもするとモヤモヤだけが残りそうなんですが、それを解消するような要素も本篇にはちゃんと盛り込まれている。中盤、あるくだりで女優のひとりが感動で涙を流すのですが、ここは本篇の救いだと思う……ただ、別の引っかかりを覚える可能性もあるんですが、そこは触れずにおこう。

 鑑賞後は、最近すっかりお気に入りの麵屋海神に立ち寄って昼食を摂り、帰宅。
 帰宅後に各映画館のサイトを確認すると、TOHOシネマズにユナイテッド・シネマなどが続々と休館を発表している。こんどの火曜日に『るろうに剣心 最終章 The Final』を観るつもりでいたんですが、宣言が解除されるまでお預けのようです……うああ、予定通りでも『ゴジラvsコング』と被るよう。そうでなくてもあのあたり、忙しくなる予定なのに。

コメント

  1. […] 原題:“V Siti” / 監督:バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク / 原案&編集:ヴィート・クルサーク /  […]

タイトルとURLをコピーしました