公開から半年以上経って、やっと観たよ。

 きょうは長いこと、ほんとーに長いこと懸案だった映画を観に行くことにしました。あとで書きますが、いろいろ葛藤があったのよ。
 劇場はTOHOシネマズ上野。もはやここは、歩いて行くほうが自分にはいい場所だ、と悟り、きょうも徒歩で移動。このところ意識的に、行ける距離は歩き、自宅でも『Fit Boxing 2』を再開して体力が戻ってきたようで、明らかに所要時間が短縮していた。……時間に余裕がある限り、歩きをメインにしてもいいかも知れない。
 鑑賞したのは、村上春樹の小説を『寝ても覚めても』の濱口竜介監督が映画化、妻を失った演出家の懊悩を、旧車での旅を軸に描いたドライブ・マイ・カー』(Bitters End配給)。天の邪鬼な性格ゆえにずーっと村上春樹作品を避けていて、その映画化である本篇も当初はあんまし興味を持ってなかったんですが、評価の高まりにつれて興味を覚えたものの、尺の長さに逡巡を繰り返し、ここに来てよーやく覚悟を決めて観てきました。
 しみじみといい映画でした。じっくりと間を用いた演出ながら表現に無駄がなく、3時間近い尺がまるで気にならない。本質的にはシンプルなことを、人物の内面に向き合いながら丹念に描いているので、驚くほどに作品の世界に惹き込まれてしまう。
 感心したのは、劇中劇として採り上げる『ワーニャ伯父さん』の物語に対する絶妙なシンクロぶりと、シンプルな本質にゆっくり観客を手繰り寄せていく仕掛けの巧さです。静かに描かれるプロローグでは主人公の妻の浮気や、それを目撃した主人公の奇妙な態度にあえて説明を施さず、秘密を残したまま本筋に入る。舞台の演出や愛車を介した運転手との交流を経て、心に秘めた想いを少しずつ紐解いていき、ゆっくりと観客の胸に浸透させていく。クライマックスの慟哭と、舞台上のひと幕が本当に感動を呼ぶのは、この誠実な語り口があってこそでしょう。
 アカデミー作品賞が獲れるかどうかは解りませんが、国際映画賞と、日本アカデミー賞は普通に獲っておかしくない、オールタイムベスト級の傑作。こんなに尺が長く、既に映像ソフトも発売されてるのに、劇場にけっこう客が詰めかけてるのも納得です。

 朝9時20分の開映でしたが、なにせ本篇が3時間近くあるので、上映終了は12時30分。繁華街で食事をすると、どこも混んでる時間帯なので、いっそ家に帰ろうかな、とも思いました。しかし前夜、久々にラーメン店を開拓するつもりで、調べを付けていたので、とりあえず立ち寄ってみると、どうやらすぐに座れる。しっかり食事を堪能してから、電車にて帰宅しました。

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