逃げ得は許さない。

 前日から日本各地が大雨に見舞われ、冠水被害も多数報告されてます。既に映画のチケットを押さえていた私はだいぶヒヤヒヤしてましたが、少なくとも私の行動圏内には問題はなさそう。きょう観るのは、当初今週火曜日に観るはずだった作品で、もうあんまし先延ばしにしたくないので、しっかり出かけました。
 済ませておきたい用足しがあって、出掛けにそちらに立ち寄り、いつもと違う駅からTOHOシネマズ日本橋へ……意外にも、所要時間はいつものルートより短縮されてる。しかし、途中でトラブルが発生して、結局冒頭10分くらい観逃したのでありました……もう仕切り直しするのは億劫なので、冒頭は何らかのかたちでフォローすることにして鑑賞しました。
 本日の鑑賞したのは、午前十時の映画祭13今コマの作品、『お葬式』で鮮烈にデビューした伊丹十三監督の長篇第3作、税務署の有能な査察官・板倉が、栄転した国税庁で因縁の敵と対決するさまをスリリングに描いた『マルサの女』(東宝初公開時配給)。……ほんとに、私ゃこれこそ観たくて仕方なかった1本なのでね。どうも満足のいく状態で観られないのが悔しい。
 しかし作品そのものは噂どおりの面白さ。冒頭ちょっと観逃したくらいでは関係ありませんでした。知っているようで知らない税金の仕組み、脱税の絡繰りを解り易く描き、それだけで惹きつけてしまう。
 序盤は末端の税務署職員であるため、限られた権限では追いきれない強敵が現れますが、主人公・板倉亮子東京国税局査察部の査察官に栄転すると、査察の規模が大きく、そして駆け引きも高度になる。直前にシンプルな駆け引きを見せていればこそ、その巧妙さ大胆さも実感しやすい。
 本篇で特筆すべきは、女性の描き方がいま観てもけっこう公平を保っているという点です。まさにこの時代ならではの逞しさで世渡りする女性も大勢登場しますが、やはり特筆すべきは主人公・亮子と、彼女に対する扱いです。女性だからこその人物像や強みも織り込みながら、決して周囲は彼女を馬鹿にしたりしない。国税局の人間は、いざというときに必要な女手として歓迎しつつも、査察官としての眼力を認め、共に強敵に臨んでいく。このドライな感覚はハードボイルド的な魅力がある。それでいて淡泊ではなく、追う側の亮子にはしばしば柔らかな振る舞いがあり、最強の敵として登場する、山﨑努演じる権藤にも、父親として息子の人生を満たされたものにしたい願望があり、そして敵でありながら亮子の才覚を認める懐の深さもある。登場するものすべてが人間味に溢れ、そして格好いい。
 的確でテンポのいい演出、そして音楽の洒脱さも相俟って、いま観ても充分すぎるほどに面白い。そりゃあ大ヒットするわ。

 最近、TOHOシネマズも紙の発券が不要なシステムを導入し始めていて、日本橋も今日訪れたときにはもう採用されてましたが……個人的には、それだけにするのは本当に勘弁して欲しい。
 たまーにある、半券で応募するタイプの検証のシステムが複雑になるとか、午前十時の映画祭の殿堂キャンペーンで用いる半券がややこしくなる、というのもありますが、そもそも半券には映画館で鑑賞した証拠として、想い出として残す、という意義もある。何より、スマホを持たないユーザーや、何らかの事情でスマホを持ち歩けない、といった事情があったときにシンプルに困る。『容疑者Xの献身』で観たような遣い方出来なくなるぞ。
 とりあえず今日は従業員の方に抗議し、現在可能な方法で発券してもらいましたが、次回以降どうしたらいいのやら。

 鑑賞後、当初の心積もりでは、雨降りのなか遠出をせずに済むよう、コレド室町から道路を挟んですぐそこにある神田らぁめん悠で食べるつもりでした。
 が、脚を運んでみたら、暖簾がかかってない。開店しているときは扉も開いているので、これはお休みしてるんだろう、と踏んで諦めて踵を返す。
 次に訪れたのは、コレド室町2地下に出来た新店です……が、こっちはオペレーションが酷かった。入って右手の、複数あるテーブル席はひとつを除いてぜんぶ空いているのに、左手のカウンター席が埋まっている、という理由で独り客の私を通さない。あとから2人組のお客が来ているのに、です。入る前でこれでは、やや高めの料金を支払う気にもなれず、案内が現れたところで離脱しました。席が空いているのに案内されない不快感って解らないんだろうか。
 ちなみにここ、前に入っていたお店も従業員の態度が良くなかった……系列違うはずなんだけど。
 その後、神田駅近くの鶏そば なな蓮に立ち寄るも、漠然と記憶していたとおりに土曜はお休み。最終的に、更に歩いたところにある、鮮魚らーめん 五ノ神水産でようやく昼食にありつくのでした。ここに来るのは1年半ぶりですが、そういや前回も、成り行きで訪ねたんだったな……。

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