今年も東京03は単独公演の全国ツアーを終了しました。もはや恒例となった東京追加公演は、今年も配信にて鑑賞いたしました。
例によってこのあと感想を記しますが、このあとアーカイヴ配信で鑑賞する方、映像ソフトが出てからじっくり楽しみたい方は、このまま別のところへ移動してください。既に鑑賞済みの方、多少はネタばらしされても構わない、という方は、写真や過去公演の感想へのリンク、長い改行を挟んだあとまでお進みください……まあ、明確にネタが解るような書き方は避けてますけど。
新国立劇場エントランス部分に掲示された『第27回東京03単独公演「とりあえず謝れず」』ポスター。(2025/5/12撮影)
あとついでに、これまでに会場に行ったり、配信で鑑賞したりしたときの感想一覧……もうこんなに通ってたのね……。
第19回東京03単独公演「自己泥酔」追加公演(ライブビューイング)
東京03 FROLIC A HOLIC「何が格好いいのか、まだ分からない。」
第20回東京03単独公演「不自然体」
第20回東京03単独公演「不自然体」追加公演(ライブビューイング)
バナナマン×東京03『handmade works 2019』(ライブビューイング)
第21回東京03単独公演「人間味風」
第21回東京03単独公演「人間味風」追加公演(ライブビューイング)
東京、練馬でジェントルなLive Vol.2
東京03リモート単独公演「隔たってるね。」
第22回東京03単独公演「ヤな塩梅」
第23回東京03単独公演「ヤな因果」
東京03稽古場公演「拗らせてるね。」(配信鑑賞)
第24回東京03単独公演「ヤな覚悟」
第24回東京03単独公演「ヤな覚悟」追加公演(配信鑑賞)
東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない 3月4日公演
第25回東京03単独公演「寄り添って割食って」
第25回東京03単独公演「寄り添って割食って」追加公演
東京03 20周年記念BEST LIVE「東京0320」
第26回東京03単独公演「腹割って腹立った」
第26回東京03単独公演「腹割って腹立った」追加公演(配信鑑賞)
第27回東京03単独公演「とりあえず謝れず」
恒例となった大竹涼太元マネジャーによるオープニング曲を挟み、冒頭は《謝罪》。公演序盤では板付きのシチュエーションで笑いを誘ってましたが、さすがに追加公演ともなると、2度目、3度目というひとも少なくないのか、笑いは薄めでした。細かに台詞とかやり取りは追加されているように思われますが、展開は概ね最初の東京公演で観たときのままだと思う。なにせ、角田さんの異様な論理と、そこからひねりを咥えつつも自然な結末に落とし込む、よく出来たネタなので、まあそりゃ変えないでしょう。
角田さんがひとりバンドで演奏する主題歌《……ず……ず》を挟んで、2本目は《動ける人》。一部の人が抱えているコンプレックスにまつわるネタ。序盤、飯塚さんが無言でいる下りで、少し演技を解りやすくしていた印象。こちらも最初のネタと同じく、おおむね流れは同じだったのですが、オチが変更された気がします。最初はもっと怖さがあったんですが、最後にもうひとつ展開を設けることで、説明は最小限、かつ不気味さと笑いがうまく調和した締めくくりになってます。
幕間映像については、さすがに公演序盤と内容が変わっているわけではないので省略……ただ、このネタはやっぱり、2回目はややインパクトを失うなー、と。その代わり、ホラー風味に仕立てつつ、笑いにも繋がる仕掛けを序盤からこまめにしているのはさすが。
3本目は《陶芸家と弟子》。こういう“師匠”と“弟子”のシチュエーションは03も幾度か使っているお笑いの定番ですが、本篇における結びつけ方はかなりの着眼です。これも全体像と結末が完璧なので、概ね変更はないと思われますが、途中でのゴタゴタは最初の頃より激しくなった気がします。やや激しくなりすぎて、豊本さんのダメージが大きかったかも知れない。
幕間2本目、《半端の代償》は前のVTRの続き。コントのネタとリンクしつつ膨らませてます。ただしもう既にホラーではなく長篇コントの第2幕。それでもこの設定ならではの笑いが細かく仕掛けられているのがさすが。
続いては本篇4本目《名優》。角田さんが某名優を彷彿とさせる人物に扮したネタです。けど、そういう観点で捉えると、見方にだいぶ悪意がある、とも言える。しかし、途中で豊本さんが登場してからの展開は、わりと軽率な考え方をする人がいたらこうなるだろうな、というもので、納得がいく。毎度のことですが、角田さんが役柄に入りきってまくし立てるくだりは膨らんでいるよーな気がします。膨らました結果があれで、あの飯塚さんのツッコミになったのは本意なのかどうか。
幕間3本目は、《こすらく costume落語》第23回東京03単独公演「ヤな因果」以来の、コスプレによるキャラ変で膨らませる落語です。しかしこれ、冷静に考えると、東京03 FROLIC A HOLIC「何が格好いいのか、まだ分からない。」ノ
応用とも言える。幕間とラストのネタを担当するオークラのやりやすい趣向なのかも。
5本目のネタは《裏切り者》。東京03では意外とやらない、フィクションっぽさの強いシチュエーションなのに、ちゃんと転がし方は03らしさが横溢している。あとで知りましたが、こういう03らしからぬ設定を導入したのは、『ゴッドタン』の企画がきっかけだったそうです。設定を特殊にしてもらしさは発揮出来ることが証明されているので、もしかしたら03の次の段階を示すネタなのかも。本筋は、設定の必然でダラダラしてるけど。
幕間映像4本目はは歌ネタ、《MA-YO-WA》。何回か前から歌ネタは減って、事実上、本篇中の歌ネタはグッズ宣伝絡みのみなんですが、それはそれでちゃんと本篇に絡めた趣向になっていて楽しめます。ただ、サントラを買って、何度も聴いた後だと新鮮味に欠くのは否めない。
飯塚さん脚本としては最後となる6本目は《お詫びのしるし》。今回の豊美さん登場ネタで、そして飯塚さんの骨休めネタ。しかし、夫婦生活のあるあるに、03ならではのひねりも効かせていて、非常にらしさが詰まってます。過程のやり取りを伸縮させることで、テレビ尺にも長尺にも出来るので、やっぱりこれはとても使い勝手がいいネタだと思う。
幕間映像は続き物の完結篇。これも直前のネタを絡めつつ、VTR全体を綺麗に締めくくっている。ちょっと感動的ですらあります。
オークラ脚本による大トリの1本は《何を謝るの?》。幕間映像のドラマの設定を踏襲することも多いのですが、今回は一部の趣向だけ引き継いだだけで、単独で成立するネタになっている。幕間映像とどちらが先かは解りませんが、この設定だからこその趣向を活かしていて、コントとして優秀――決してオリジナルの発想ではないけれど、これをライブでやるのが面白さでもある。
単独公演では、序盤の公演と追加公演で見比べると、途中のアドリブのやり取りがやたらと増えている――というより、そのかだりが楽しくなって引き延ばしまくる場面があったりする。今回、飯塚さんのネタはがっちりしているせいか、そこまで遊びが増えたネタはなかったはずですが、この大トリのネタではちょこっと、過剰になってるかも、という点が散見されました。記憶違いかも知れないけどね。いずれにせよ、既に暖まりきった3人のテンションとノリは絶妙で、ひたすらに楽しい。
どうでもいいけど、私が鑑賞したときの公演では、飯塚さんがネタには影響しないけど裏方には迷惑をかけるやらかしをしちゃってたので、今回そのくだりに思わず注目してしまった。意外にも、やり口はそのまんまでした――悲劇は起きなかったけど。補強したのかも。
そして追加公演ならではの特別公演は――まさかのオマケコント。本篇で用意していたけど使わなかったネタを演じる、というもの。ゲストも来ないガチネタだけど、お前ら嫌いじゃないだろ、とねじ込んできた模様。もちろん好きに決まっている。
しかしこの追加のネタ、なんでボツにされたのか、理解出来ます。他のネタと被る要素がちょっと多すぎるのです。もちろん展開も、3人の役回りも異なるのですが、一部のモチーフとその扱いに重複があるので、順番を決める上でも悩ましい。しかも、今回の公演タイトルにはしっくり来る分、次回以降の公演で使えるか、ちょっと微妙なところなので、この追加公演で採り上げるのが最善だったと思います。
以上で終了。追加演目のあとの舞台挨拶にて、ネタの中でとある著名作品のパロディめいた趣向を採り入れたところ、思いっきりその関係者が来場していて焦ったそうです。角田さんはとりあえず謝ったそうな……正直、向こうはパロディされるのに慣れてるだろうし、角田さんは無関係な人ではないので、別に問題はないと思うんだけど、展開として面白かった。
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