ダーティペアFLASH1 天使の憂鬱

ダーティペアFLASH1 天使の憂鬱 ダーティペアFLASH1 天使の憂鬱』

高千穂遙

判型:文庫判

レーベル:ハヤカワ文庫JA

版元:早川書房

発行:1999年5月15日

isbn:4150306141

本体価格:540円

商品ページ:[bk1amazon]

 「性格の全く異なる女の子二人が組み、無理無謀に暴れまくる」というエッセンスのみを保存し、「WWWA」などの基本設定を除いて一切が新調された、新たなる「ダーティペア」シリーズの第一作である。親本は1994年12月に刊行され、今年第三巻の刊行に合わせて既刊分二冊が立て続けに文庫化された。

 惑星アガルタの軌道上を巡る特殊施設<イコシエル>は突如として母星に牙を剥いた。ある日を境に交信を断絶し、ビーム発射口を地上に向け、二つの大都市を溶解させた。アガルタ政府の提訴を受けて出動したハマダは、身体機能と引換に、宇宙に脅かす悪意の到来を悟る。

 それから半年後、銀河連合常任理事国会議議長付最高顧問ドクター・ソロモンの推挙により、二人のトラブル・コンサルタントがアガルタに招聘された。ボーイッシュと言うより粗暴であわや少年院入りの処を拾われたケイと、自らの幸福以外は何にも見えない筋金入りのブリッ子(死語)ユリ。彼女らはその潜在能力をソロモンに見出され、まともな訓練も受けないまま即座に『薔薇十字学院』寮に派遣される。その往路、あからさまに反りの合っていない二人に、いきなり魔手が襲いかかる――

 困ったことに深川は前シリーズ未読であり(おいおい)、比較してどの程度異なっているかを語るには適格ではないのだが、それでも本シリーズが極めて魅力的である、とだけなら断言できる。本書は第一作という事もあってか主要登場人物の顔見せと設定及び世界観の陳列に終始し、エピソードとしての厚みには乏しい。だが、或る意味全く噛み合わないキャラ同士のやり取りが絶妙だし、2を読んでから見直すと既に次作に繋げる伏線が幾つも張り巡らされているのが解る。一番の魅力は、そうした些末に拘らずとも肩を凝らさずに読める、という点であろう。大らかに参りましょう。ケイとユリみたいに、な(あいつらの場合は「大雑把」か「無関心」と表現した方が適当そうだが)。

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