100本目は、話題のロングラン。

 映画道楽にハマって以来、毎年劇場で100本観るのを目標にしています。今年はずーっと諸般事情でなかなか本数が稼げず、途中で先行きを危惧したのですが、どうにかこうにか、上の『クロニクル』で99本に達しました。今日は映画サービスデーで、私の利用している窓口限定の割引を使わずとも1000円で鑑賞出来ますから、いまこそ好機、とばかり、早めにネットでチケットを確保して朝から出かけました……台風の影響で生憎の空模様ゆえ、自転車で移動するのにとっても楽な日比谷地区にも拘わらず電車で赴かねばならなかったのはちょっと痛かったのですが。

 訪れたのはTOHOシネマズスカラ座・みゆき座。前回、みゆき座で鑑賞したのが半年前、スカラ座となると何と元日以来でした……そうでなくても1作の上映期間が長めですし、どうしても他のシネコンを利用してしまいますから、どうしても足が遠のきがちなのですが。ともあれ、TOHOシネマズスカラ座にて鑑賞したのは、先ごろ宮崎駿監督が引退を表明したことで、現時点では最後の長篇アニメーション作品となりそうな点でも話題のスタジオジブリ最新作風立ちぬ』(東宝配給)ジブリ作品は出来の善し悪しに拘わらずなるべく早めに鑑賞する、というのがポリシーでしたが、毎回だいたい上映期間は長め、しかも今回は話題性もあるので、次の『かぐや姫の物語』まで続くだろう、と高を括って、観に来るタイミングを半ば失ってました。しかし、例年100本目は自分にとって注目度の高い作品を選ぶ習慣になっているので、今年、いま見落としているなかではいちばん最適だろう、と選んだ次第。

 公開直後に聞こえてきた評判通り、確かにここしばらくのジブリ作品ではいちばんの出来と言っていいし、もうどうしようもないくらい大人向け。これといった大きな事件に巻き込まれない代わり、背景にある歴史を匂わせる描き方の厚み、そして堀越二郎の飛行機作りと架空の人物菜穂子とのロマンスを呼応させる渋い話作りがいい、のだけどたぶん子供には面白いところがどーしよーもなく少ない。いい映画なんですが、よくぞこれが宮崎監督のフィルモグラフィーでも上位を争うヒット作になったものだと思います。そして、そのつもりになって鑑賞すると、ほとんど100パーセント監督の趣味や嗜好だけで作りだされているのがすごい。飛行機のモチーフもそうですが、菜穂子の描写なんてほとんど宮崎ヒロインの集大成にして極地ではなかろうか。出来映えとしては初期作品には及びませんし、実はストーリー的には『借りぐらしのアリエッティ』や『コクリコ坂から』のほうが整っているんですが、それでもこの奥行きには及ばない。私は、人間は自分の引き際は自分の好きに決めるべきだ、と思ってますが、それを差し引いても、本篇を幕引きとするのは悪い決断ではない、と感じました。

 さて、これでようやく、7月から残っていたなかで、観ておきたかった作品はひととおり拾いました……が、そうしているあいだにも新しい作品が公開され、またぞろ心残りが増えているのです。一部でロビン役を噂されていたあのひとの新作とか、ある意味イーストウッド監督やフィンチャー監督よりも敬愛している某監督の新作とか……。毎年の目標をクリアしたとは言い条、やはり新作を追いかけ、追われる日々は続くのでありました。

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