以下、昨日の出来事。当日中に上げられないかな、と電車の中でも格闘しましたが、やっぱり無理だった。
たぶん今年上半期最後の大きめのイベントは、もはや参加が毎年の恒例になってしまった、東京03の単独公演です。
ただし今年は、ちょっと不安材料を抱えてしまった。
というのも、私がこのライブに毎年のように参加するようになったきっかけは、東京03のファンアプリに登録したことで、実はこれを経由で申し込むと、ほぼ確実にチケットが取れていたのです。
外したのは唯一、バナナマンとのユニット《HANDMADE WORKS》の公演のみ。これは会場が、東京03が東京公演で使用するThe Garden Hallなどではなく、キャパの小さかった俳優座劇場で、バナナマンファンも含んで競争率が高まったせいだと思われます。Creepy Nutsとの武道館公演ですら席が取れたのですから、ファンアプリの当選率は非常に高かった。
が、今回、単独公演では初めて、第1希望が確保出来ませんでした。私は東京公演の初日に行くのが基本でしたが、今回の9日のチケットは外している。幸いに、第2希望だった今日付のチケットは取れたものの、いまヒヤッとしてます。
ファンアプリの当選率の高さが、アプリ未登録だったファンに共有されたか、純粋にファンが増えたのか。幸いに今年は確保出来たものの、来年以降――もしかしたら今年後半あたりに《FROLIC A HOLIC》があるならばその辺から、厳しい戦いになるかも知れません。
今回の会場は、久々の新国立劇場 中劇場。調べてみたら、2020年9月、第22回単独公演「ヤな塩梅」以来でした。のちにどこかで飯塚さんが語ってましたが、そのときは《FROLIC A HOLIC》を開催するつもりで予め会場を押さえていたところ、コロナ禍により春の単独公演が延期となり、代わりに単独公演の東京公演を入れたんだそうです。今回は……さすがに事情は違うと思う。利用することの多いThe Garden Hallが埋まってたとかだろうか。
そんなこんなで、当日です。
作業がここまでズレ込んでしまったことに少々動揺しつつも、どうにか午前中に一段落させました。今回は手強かった。
昼食に仮眠、若干のダラダラタイムを挟んでお出かけ。いちおうバイクの駐車場については調べていて、混んでいる確率は低そう、という手応えを得ていましたが、しかし移動はけっきょく電車を利用。万一にでも、目を付けていた駐車場が埋まってたら終了だし、そもそも天気がやや不安定で、長時間駐めることを考えても、行き帰りの荷物を考慮しても、これが最善。
少し早めに現地入りすると、時間潰しととりあえずの腹ごなしとして、新国立劇場前のマクドナルドで軽食……久々に店頭で食べたけど、揚げたては旨い。
開場に合わせて中劇場に向かい、まずはグッズを購入。ブルーレイなどを除く公演グッズを1万円以上購入するとピンバッジが貰える、と言うので、いちおうそのつもりでいましたが、けっきょくはパンフレットとTシャツといういつものセットのみにしました。強いて言うならピッグシルエットのTシャツくらいは買うか、と思ってましたが、特典のためにTシャツ2種類買うのもしっくり来なかったので。サントラが販売されてれば、合わせるためにトートバッグとか追加しと買う、という選択もあったけれど、サントラはまだ販売開始してなかったから。
買い物を済ませたら、毎度ながらなんでか端っこに配されてしまった座席にて待機。
ネタばらしして欲しくない方のために、改行多めに挟んでから本篇に入ります。
新国立劇場エントランス部分に掲示された『第27回東京03単独公演「とりあえず謝れず」』ポスター。
あとついでに、これまでに会場に行ったり、配信で鑑賞したりしたときの感想一覧……もうこんなに通ってたのね……。
第19回東京03単独公演「自己泥酔」追加公演(ライブビューイング)
東京03 FROLIC A HOLIC「何が格好いいのか、まだ分からない。」
第20回東京03単独公演「不自然体」
第20回東京03単独公演「不自然体」追加公演(ライブビューイング)
バナナマン×東京03『handmade works 2019』(ライブビューイング)
第21回東京03単独公演「人間味風」
第21回東京03単独公演「人間味風」追加公演(ライブビューイング)
東京、練馬でジェントルなLive Vol.2
東京03リモート単独公演「隔たってるね。」
第22回東京03単独公演「ヤな塩梅」
第23回東京03単独公演「ヤな因果」
東京03稽古場公演「拗らせてるね。」(配信鑑賞)
第24回東京03単独公演「ヤな覚悟」
第24回東京03単独公演「ヤな覚悟」追加公演(配信鑑賞)
東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない 3月4日公演
第25回東京03単独公演「寄り添って割食って」
第25回東京03単独公演「寄り添って割食って」追加公演
東京03 20周年記念BEST LIVE「東京0320」
第26回東京03単独公演「腹割って腹立った」
第26回東京03単独公演「腹割って腹立った」追加公演(配信鑑賞)
恒例となった大竹涼太元マネジャーによるオープニング曲を挟み、最初のネタは《謝罪》。板付きでいきなり笑いを誘われます。初っ端からかい。そして、どー考えても異様な角田さんの考え方が、予想もしない、けれどそりゃそうなる、と頷けるオチに辿り着く。頭から東京03らしさが炸裂してます。
続いては角田さんによる主題歌《……ず……ず》。歌詞の変な世界観はともかく、私は演奏にゾクッとしてしまった。前々作は角田さん弾き語りオンリーから前作はダビングによるひとりバンドときて、今回は何をするのかと思ってたら、その場での録音をループさせるスタイルのひとり演奏。ときどき見かける手法ですが、まさかここでやるとわ。基本はいつもの弾き語りメインなんですが、角田さんが格好良く見えます。歌詞は変だけど。ニイルセンのホワイトボードアニメは
2本目のネタは《動ける人》。これは人によってはものすご~く共感出来るコンプレックスが取っかかりになってますが、そこに乗せた角田さんらしい人物像と、終盤での思わぬツイストに唸らされます。途中まで、さすがにそこまで言わなくても、と思いつつ笑っていたのに、気づいたら共感と、軽い恐怖混じりの笑いになっているっていう。
最初の幕間は、今回もまたロケを実施してのドラマ仕立て。しかも、序盤の雰囲気は完全にホラーです。しかし、キャラクターが増えてくるとどんどん変なことになって、いったん落としたところで次に続く。個人的には、たぶん日本産ホラーを強く意識したであろう演出から笑いに振り切っていく感じが大好きです。
3本目のネタは《陶芸家と弟子》。自身の作品の出来に納得がいかず作品を叩き割り、棚に並べた分まで壊していく、というのはそんな珍しいものではない。けれどここからが最近の東京03の真骨頂です。普通に弟子がなだめてるだけ、と思っていたら、ゆるやかに“気づき”へと導かれる。結果として訪れるオチは、笑いと共に変な爽快感があります。これはたぶん、最近の03コントのとある名作と同じく、身辺の変化や経験が貢献した作品だと思う。尺がコンパクトなので、この辺はテレビのネタ番組でもかけるのではなかろうか。
幕間2本目は、冒頭にタイトルも出る《半端の代償》。前のVTRで、どうしてあんな事態になったのか、を説明しつつ、事態を打開しようと奮闘する様子が描かれる。設定は相変わらずホラーだけど、イジり方も広げ方もしっかりとコントです。
4本目のコントは《名優》。パンフレットを読む前から、角田さんが演じているのはあの人をイメージした大物俳優だろうな、とすぐに察しがつく――だからと言って、あの人っぽいキャラを角田さんが演じている事実に笑ってしまった私はちょっと失礼かも知れない。その尊い意識に水を差すような流れを一人であっさり実現してしまう豊本さんもさすがですが、ギアを切り替えてからの角田さんのノリっぷりも素晴らしい。途中の際立った台詞が、台本ではなく勢いで出てきたもの、とあとで知って納得してしまいます。東京03のコントではあんまりなかったタイプの構造に見せかけて、三人のコント役者としての根元にある個性が活きた1本。これも尺はコンパクトなので、
《こすらく costume落語》。タイトルを見た瞬間に、おお、と膝を打ちました。第23回東京03単独公演「ヤな因果」の幕間と同じ趣向です。これ、飯塚さんの演技の多彩さが発揮されていて大好き。ネタとしてのインパクトは前回の方が上でしたが、オチの切れ味はより落語っぽくなってます。枕が終わったら羽織を脱ぐお約束に、だんだん映像コントならではの趣向を懲らしつつ、前回よりもしっかりと落語としてまとめてきてる。普通に本職の方が新作落語としてかけられる……ってことはないか。このひと幕も、世界観は前のVTRと繋がってるし。
5本目は《裏切り者》。刑事二人が秘密組織のアジトに踏み込んでいき予想外の展開が、というシチュエーション。これは東京03のコントではあまり見なかったパターンです。導入が若手コント師っぽいし、そこからの展開は、間を用いて笑いを引き出しつつ、ネタとしての核は普段の生活でもたま~にこういう場合があるな、と共感する……最後の部分だけ、そういう意味では東京03っぽい。しかも、パンフレットに記された着想のきっかけと、実際の演技の組み立ては、ある意味東京03そのものです。トリオとしての蓄積が生み出した作品かも。
続いての幕間映像は歌ネタ《MA-YO-WA》。直前の本篇のネタと、ここまでの幕間映像とリンクさせつつ、やっているのは例によって例のごとくグッズの宣伝、というアレです。しかし、それでも曲の作りはけっこう凝っている。通底音としてず~っと喋っている内容も歌詞カードに載せたら大変なことになるだろうな……たぶんやってないだろうけど。ネット注文したサントラはいつ届くだろうか。
6本目、飯塚さん脚本では最後の1本、《お詫びのしるし》は、久々に豊美さん登場です。夫婦の関係性ではしばしばありそうな成り行きを派手に膨らましてます。また夫役の角田さんが、こういう失敗をしでかしてそうな雰囲気があってハマってる。しかし終盤の着地は意外、かつインパクト強烈。これに類する趣向は以前にもありましたが、オチの笑い、という意味ではこっちのほうが仕上がってる。あちらはあちらで東京03の代表作とも言える傑作ですが、これも匹敵する仕上がりだと思う。
幕間はVTRの連続ネタ完結篇。更にとんでもない方向に転がりつつ、幕間の物語にちゃんと幕を引いてます。オチはむしろ余計な気もしましたけど、幕間映像の趣向としては正しい。
大トリの1本は《何を謝るの?》。パンフレットにも特に断りはありませんが、いつも通りなら、幕間映像の脚本も手懸けている放送作家オークラが担当してるはず。実際、このところよく仕掛けるように、幕間映像ともちょっと絡んでくるネタです――ただし、まったく同じ世界の出来事だとすると矛盾が生じる内容なので、近い世界観で違う趣向を用いたネタ、と捉えるべきでしょう。結果、若手がやりそうな設定にはなっているけれど、経験を重ねてきた東京03らしい説得力とひねりのある内容になっている。終盤でちょっと感動的な運びに鳴ったのに、とても納得のいく笑いに落とすところまで絶妙。ただこの日の公演では、飯塚さんがはしゃぎすぎて、予定外のやらかしをしたっぽい。そのときの表情と、たぶんアドリブと思われる少しあとの台詞の印象が強まってしまいました……面白かったけど、やっぱりああならないのが理想だったのではなかろうか。
少しウェットだけどいい感じに情けないエンディング曲《まだちゃんと謝れず》で、公演は終了。
今回も面白かった。今まではあまりやらなかった趣向も採り入れつつ、根底にある東京03の技術と魅力は保たれ、更に熟成も窺わせる。いまから次回が楽しみ……というか、予算が許せば、たぶん追加公演も観に行く。
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