さよなら、コトー先生。

 本日は封切りの映画を観に行く――わけではなく、必ず観るつもりでいた1本を1週遅れで観てきました。なんで今週にしたかというと、この作品は母も観たがっていたので同行する約束になってましたが、先週は金・土ともに母も私も用事があった……まあ私の用事は狂ってしまってたわけですが、ともかくその辺が先に決まっていたので、今週の金・土いずれかに観ることにしていたのです。
 劇場は近場で母も行き慣れているTOHOシネマズ上野。鑑賞したのは、2003年に山田貴敏の漫画を元に製作され大ヒット、特別編や第2期も放送されたドラマの16年振りとなる続篇にして完結篇、離島で19年にわたって勤務し厚い信頼を集めてきた五島健助医師を最大の試練が襲うDr.コトー診療所』(東宝配給)
 当時のドラマを観ていた人は冒頭10分ほどがとにかく感慨深い。生田絵梨花演じる、2人目の看護師として診療所を支える西野那美の視点を中心に現在の志木那島の姿を見せていく。変わらない風景、ちょっとずつ変わった文化、そして、自転車を電動アシスト付に変更しつつも、より深い信頼を集めているコトー先生の姿にグッと来てしまいます。
 しかしそこで立ちはだかるのは、僻地医療の現実です。原作の初期から指摘されていた、たまたま派遣されたのが有能で誠実すぎるコトー先生だったから成立している志木那島診療所の危うさが、ここで急速に浮き彫りになっていく。かつてよりも島民に近い存在になったからこそ、深くなってしまった悩みに苛まれる彼の姿が実に胸を打ちます。
 島におけるコトー先生最初の患者であり、憧れて医師を志した原剛洋の直面した問題もここで鍵になってくる。別の活きのいい役者をあてがうのではなく、既に役者を引退していた富岡涼を呼び戻し、その空気感まで採り入れてしまったのがまた効果を上げてます。
 最後の展開にやや都合の良さを感じますが、既にドラマシリーズとして描き継ぎ、その世界観や人柄を表現してきた本篇には許される境地だと思う。ドラマシリーズを観てきた人なら外すべきではない、そして本篇から観ても、僻地医療を描いたドラマの先駆として積み上げてきたものの重みというものを感じられる1本。お馴染みのテーマ曲『銀の龍の背に乗って』の使い方も最高で、もともとそれが目当てでドラマを観ていた私としても満足。

 鑑賞後は丸亀製麺でテイクアウトをして帰るつもりでしたが、お昼時にぶつかったせいか、店の外まで列が伸びている。諦めて、ケンタッキーをお持ち帰りしました……なんか、前に母と映画を観に行ったときと展開が一緒だな。

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