『ダークグラス』トークイベントつき上映 at 新宿武蔵野館。

 この週末、観たかった映画が一気に封切られます……現時点でも、マストで押さえておきたい作品がまだ残っているというのに。嘆いていても仕方ないので、出来る範囲で観に行くのです。というわけで、今週3度目の映画鑑賞へ。
 本日の目的地は新宿です。場所的にも、バイクで行くのにちょうどいいのですが、お昼過ぎから急速に崩れる、という天気予報が出ている。実際、起きてからの空模様も、朝のうちは晴れていましたがだんだんと重たくなってる。潔く電車で出かけました。
 お目当ての上映開始は11時45分と遅めなので、1時間ほど早めに現地入りし、先に昼食を摂ってしまうことに。時間がないのであれこれ考えることはやめて、たぶん新宿エリアで私がいちばんよく足を運ぶ麵屋海神へ……さすがに行動が早すぎて、まだ開店してなかったので、いったん映画館に赴いてチケットの発券やポスター、展示物の撮影を済ませてきました。
 食事を済ませて戻った新宿武蔵野館にて鑑賞したのは、ジャーロの巨匠ダリオ・アルジェント10年振りの新作、視力を失った娼婦と、事件で身寄りをなくした少年に迫る魔手をスリリングに描くダークグラス』(LONGRIDE配給)
 とてもアルジェントらしい、けどいつにない柔らかさもある、不思議な作品。相変わらず殺人の描写はかなりエグいし、その緊張感の表現も巧みなんですが、随所に優しさが滲んでいる。命の代わりに視力を失ったヒロインが、巻き込まれて施設に送られた少年に会いに行ったり、逃げてきた彼を保護したり。生活費に困って昔からの客に連絡を取ると、「僕の醜い姿を見られずに済むからいい」と快く受け入れてくれる。あとのイベントでも言ってましたがいい奴だぞこの客に。
 謎解きとしては大いに物足りないし、人物の動きにヴィジュアルや驚きを優先しすぎた不自然な箇所が多いのですが、だからこそ、の表現へのこだわりが心地よい。殺人シーンのグロさを覚悟して身構えていったんですが、思いのほか和んでしまいましたよ。私はこういうの、やっぱり好き。欠点も多いけど、それでいい。

 本篇のあとはトークイベントです。登壇したのは映画ライターの高橋ヨシキ氏と、ミュージシャン・作家の大槻ケンヂ氏。
 挨拶もそこそこにトークへ。焦点となったのはやっぱり、アルジェントらしい一方で、いつになく“ほっこり”とした味わいがある、という点。82歳で撮る新作に、まだ、これまでと異なるテイスト、趣向を試みる創作意欲が籠められていることへの強い感銘を語る。
 大槻ケンヂ氏は本篇に、80年代くらいにビデオでのみ流通していた作品の味わいを感じた、と言っていました。殺人シーンの描写に、ちょっと古めかしい音楽の作りにそういう印象を受けると。その流れで、実はホラー映画で無意味にメタルを使っているのがあんまり好きではない、と吐露していました。そういう音楽やってるのに。英語なので意味は解らないけどたぶん『蠟人形の館』みたいな歌詞なんだろ、と思ってしまうらしい。もちろん『蠟人形の館』は名曲だけど、とフォローしつつ。
 髙橋氏が深い造詣でアルジェントの作風の変遷を語れば、大槻氏は「詳しくはない」と断りつつも、今回の公開に併せて過去の作品を鑑賞して、その魅力を再認識した、と述懐。私はこういうトークイベントでは、ブログで触れるために手書きでメモを取っているのですが、おふたりがあまりにノリすぎてテンポが速く、いつも以上にペンが追いつきませんでした……速記覚えようかなマジで。
 その勢いのまま、お時間が来てしまった。観客も撮影可能なフォトセッションで締め括り。楽しいひとときでありました。

 どうやら天気の方はギリギリ保った模様。しかし、せっかく直結しているので、映画館の入ったビルの地下から新宿駅に入って帰宅。家に帰り、すぐさま仮眠を取るのでした……そうしないと、いつもの透析のスケジュールに間に合わないからね。

『ダークグラス』公開記念トークイベントのフォトセッション。左が高橋ヨシキ氏、右が大槻ケンヂ氏。
『ダークグラス』公開記念トークイベントのフォトセッション。左が高橋ヨシキ氏、右が大槻ケンヂ氏。

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