武器も持たずに戦場を生き延びる難しさ。

 今週は何だかんだで映画館に行かなかったので、さすが今日こそは――と思ってましたが、天気予報が大荒れを告げていたので断念。実際、朝からずっと雨が降りっぱなし、挙句は地響きのような落雷まであって、まったく落ち着かない1日でした。
 それでも、やっぱり映画は観たい。午前中はじっくりと『Fit Boxing 2』で汗を流したりして、仮眠を挟み16時くらいから配信サイトで作品を漁る……次は映画館にするつもりでいたから、何の目星もつけてなかったのです。チェックリストに入れてる作品は、いずれも今日はピンと来ず、好きな監督や俳優の名前で検索して、よーやく辿り着いた1本を17時ぐらいから観始める。


『ロープ/戦場の生命線(字幕版)』Amazon Prime Video作品ページにリンク。

 選んだのは、ベニチオ・デル・トロとティム・ロビンス、オルガ・キュリレンコというなかなかの面子を揃えた作品。NGOのメンバーが紛争地帯で遭遇するトラブルを、緊張感と痛烈なユーモアで描きだした『ロープ/戦場の生命線』(レスペ初公開時配給)。デル・トロ出演作ゆえチェックはしてたんですが、公開時に観逃してしまったのが長らく心残りになっていた1本でした。Amazon `Prime Videoで発見。
 もっとヒリヒリとした作品を想像しててやや身構えていた(それも観逃した一因)んですが、そこまでキツい描写はなかった。にも拘わらず漲る不思議な緊張感と、ティム・ロビンス、演じるビーの人を食った物言いや、デル・トロ演じる女性関係に悩みを抱えるマンブルゥと周囲のやり取りが醸し出す可笑しさが、他の戦争映画とは異なる味わいを醸してます。
 基本的にはフィクションと思われるのですが、随所で繰り広げられる不条理なやり取りに、一筋縄では行かない戦場の現実を感じさせます。たぶん実際の戦場でも、非戦闘員として現地にいるにも拘わらず、こんな不毛な出来事に振り回されるひとびとがいるのでしょう。しばしば笑いでくすぐってくるがゆえに、その虚しさが引き立ちます。
 銃撃シーンなどは戦争映画ならではの見せ場は皆無なので、やたらと地味になりそうなところを、人物描写とマリリン・マンソンや『花はどこへ行った』のカヴァーなどツボを押さえた音楽で彩った、侮りがたい佳作。変に身構えず劇場で観ておけば良かったよ。個人的に、『誘拐犯』や『トラフィック』あたりの、洒脱でありながらも深みのあるデル・トロの演技がたっぷり堪能出来た点でも嬉しい作品。

コメント

  1. […] 原題:“A Perfect Day” / 原作:パウラ・ファリアス / 監督:フェルナンド・レオン・デ・アラノア / 脚本:フェルナンド・レオン・デ・アラノア、ディエゴ・ファリアス /  […]

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