『三茶のポルターガイスト』公開記念舞台挨拶つき上映 at 池袋シネマ・ロサ。

 生憎の雨模様ですが、今日も映画鑑賞です。
 向かったのは池袋、しかも西口――池袋には別件で年に4回は立ち寄るし、映画を観に来たりもしてますが、すべて東口。西口に出るのは久々です。訪れた池袋シネマ・ロサに至っては8年ぶりである。如何に縁がなかったか。
 鑑賞したのは、ほぼ100%の高確率で怪異が記録されるスポットを撮影した怪奇ドキュメンタリー三茶のポルターガイスト』(エクストリーム配給)
 確か木原浩勝氏の『怪談ラヂオ』で初めてその存在が世間に認知されて、過去の凄まじい映像の発掘、そして生配信での驚異的打率で発生する怪奇現象と、いったいどんだけネタがあるんだ、という凄まじさに昨年は複数のテレビ番組でも採り上げられ、だいぶ知名度を増しましたが、1本まるまるここで撮影した映像のみの映画は初めて。まして監督が『怪談新耳袋Gメン』シリーズで長年ラインプロデューサーとして携わってきた後藤剛、とあっては観ないわけにはいかない。
 語り部がだいぶぶっ飛んだオカルトサイトの編集長・角由紀子なので、最初のアプローチがだいぶアレではありましたが、そこで何も起きない、というのが却ってリアルですし、いざ怪異が起きはじめると、怖いのをこらえて現場を確認、マジシャンや内装業者にも手を借りて検証し、細工で怪異を起こすには困難が多いことも可能な範囲で確認していく。だからこそ、それから陸続と発生し、カメラにもきっちり記録された怪異が非常に興味深い。ここでは『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』でも撮影を実施し、怪異の撮影に成功してますが、本篇での撮影や、先立って実施された定点撮影で記録された映像は「あれ以上だ」とはっきり断言できる。
 なにせ、映像畑での経験が豊かとは言え初監督には違いなく、映画として観るにはぎこちなさ、安っぽさも禁じ得ない作りにはなってます。とりわけ、過去の出来事を再現したドラマは、体験者ならではの生々しさもあるけれど、チープさにちょっと苦笑いしてしまった。しかし、現象の凄さを、可能な限り疑いを容れないレベルまで突き詰めた内容は充分な価値がある。ホラー映画愛好家、オカルト愛好家はむろん、そうしたものに懐疑的な人もあえて鑑賞してみるべきだと思う。……怪奇ドキュメンタリーがみんなこのくらいパワーがあればいいのにね。そもそも、ここまで打率の高いスポット自体が他に類を見ないので、そういう意味でも本篇は貴重だぞ。

 上映終了後は、出演者登壇による舞台挨拶です。司会は本篇でもアテンド役を務めたオカルト編集者の角由紀子、登壇者は撮影現場となったスタジオのオーナーである演出家・横澤丈二、コックリさんをやらされた海老野心と石川翔鈴に、劇中で体験談を語ったいしだ壱成、そして監督の後藤剛。
 早々にクロストークのかたちで語られたのは、やっぱり映像には収まりきらなかった怪異の数々です。海老野は撮影終了時、スマホの時計が何故か1分遅れるという体験をし、階下のキャバクラを訪ねた監督は、ボーイさんにこの撮影の件を話していると照明が突如点灯する、という事象に遭遇、更に撮影終了後しばらく“鈴の音”につきまとわれた、という話を披露。更に、劇中で横澤の表情に嘘の兆候があるか確認するために呼ばれた元警察官のスチールカメラマンの方に至っては、こっくりさんから直前の行動を言い当てられるひと幕もあったんだそうです。パンフレットによれば、0号の時点では3時間くらいの尺になったそうですが、それも宜なるかな。
 しかしこの舞台挨拶のなにが凄かったって、劇中で聴こえてきたそのまんまの物音がどこからともなく聴こえてきたこと――これについては「細工ではなかった」とは断言しづらい。しかし私の感覚では、スクリーンの後ろあたりから響いてきた。昔ならいざ知らず、現在のミニシアターではスクリーン裏に人は入れない。ここのスピーカーは5.1chなので、スクリーン後ろにスピーカーがあったかも知れませんが、ここのシステムの古さを考えると、音の具合が自然すぎた。いしだ壱成や、霊感がある人、という呼びかけに応えた観客のかたも似たようなところに気配があった、と語ってるし、和気藹々としつつも厭な気配が漂う舞台挨拶でした。去り際に女優さんのどちらかが「やだー」みたいなことを呟いていたのも仕方ないと思う。

『三茶のポルターガイスト』公開記念舞台挨拶のフォトセッション。左から海老野心、横澤丈二、角由紀子、ポスターを挟んで石川翔鈴、いしだ壱成、後藤剛監督。
『三茶のポルターガイスト』公開記念舞台挨拶のフォトセッション。左から海老野心、横澤丈二、角由紀子、ポスターを挟んで石川翔鈴、いしだ壱成、後藤剛監督。

 売店では、とっても滑りのいい専用コインつきのコックリさんセットなんかも販売されていたようですが、どうやら同じスクリーンで次の回にも別作品の舞台挨拶があるらしいので、あまり居座っては申し訳ない、と私はさっさと退出。
 昼食は、西口付近にあるラーメン店を訪れてみよう、と思ったのですが、如何せんこっちは私にとって未開の地、なかなか目的のお店に辿り着けずいたずらに時間を費やし、ようやく見つけたら大行列……これは帰りにコンビニで買ってきたほうが楽だ、と判断し、その場を離れる。
 しかしここで、せっかく池袋に来たのだから、と貧乏根性を発揮してしまったのがいけなかった。駅の地下を通って東口側の西武まで赴き、三省堂書店で文庫2冊を、そして池袋に来たときの恒例で、かるかやの生うどん2食分を購入、それからようやく改札を通る。昼食を摂らずにウロウロしたせいで低血糖の症状が出かかり、折良く開いていた優先席に座って、携帯しているハイチュウをつまんでどーにか身体を誤魔化すのでした……素直にラーメン店の行列に並んでた方が楽だったかも……。

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